第6章 ‐5‐
目を覚ますとベッドの上。
ボーッとする頭で昨日を思い出す。
ガンガンと頭痛がする。
ガチャ…「お兄ちゃん?起きてる?」
詩乃が恐る恐るドアを開く。
起きてるよ、と返事すると
嬉しそうに中へ入って来た。
「詩乃、今までごめんな。
失う事が怖くて…、」
「大丈夫だよ、皆も分かってくれてる」
ね、と詩乃が笑う。
こんなに笑う詩乃は初めて見た。
今まで何してたんだろう。
辛い思いばかりさせてたのかな?
だとしたら、俺は最低な兄貴だったよな…
「今日はヒナタくん達と遊ぼうよ!
たくさん遊べば気分も良くなるよ!」
手を握り、引っ張る詩乃。
うん、と微笑みベッドから出て
部屋を飛び出した。
母さん、父さん。
俺、やっぱ何も失いたくないよ
失いたくないけど、
守る方法は他にもあると思うんだ。