第5章 ‐4‐
携帯に電話しても出てはくれなくて。
折り返しの電話もない。
どこ、行ったのかな。
「ごめんな、詩乃」
剣くんがショボンとした様子でやって来た。
「ううん、剣くんだけ悪いんじゃないから」
お兄ちゃんには受け入れて欲しくて。
だけど、どうしたらいいのか分かんなくて。
いまこうしてお兄ちゃんは出て行った。
みんなと家族じゃダメなの?
血が繋がってなくても家族でしょ??
お兄ちゃんは、
受け入れたくないだけなんだよね?
だったら、そうはっきりと言えば...。
だめだ。
そんなのダメ。
「私、探してくる!」
家族はここしかないんだから。