第2章 ‐1‐
「僕のこと、覚えてない?」
そう聞かれ、うーんと思い出そうとする。
しかし、どうしても思い出せない。
どこかで会ったことあったっけ?
「塾の講義とか、ですかね。」
いや、あれは美堂先生じゃなくて藤堂先生だ。
名前が似てるだけか。
「昔、施設で」
その言葉に、昔の記憶が思い出される。
そうだ、あのときよく一緒に居たのは美堂先生だったんだ!
10歳も離れてたら雰囲気も変わるんだなあ...
「しーちゃん!!早くダンス決めよーよ!!!」
奥から怜奈に呼ばれる。
愛澄ちゃんも手招きしてる。
「す、すみません!またあとで!!」