第2章 ‐1‐
『初めに、今日から副担任として来てくださった方が居ます。』
それを合図に、誰か教室に入って来た。
女子が小さく歓声をあげる。
『美堂優流先生だ。担当教科は体育だ』
「美堂です。これからどうぞよろしくお願いします」
美堂?
あれ、なんか聞いたことあるような...
ボーッと聞いていたせいもあってか、そんな疑問も忘れてしまった。
私の頭の中は、涼兄が今晩作るご飯でいっぱいだ。
「....ハンバーグかな、いや野菜炒めかも...」
そうブツブツ呟く私を、美堂先生が見ていた事にも気づかずに。
ホームルームは終わった。