第2章 知らなかった
俊side
「うわぁ!スッゲェ雨!」
僕はあまり濡れてないけど兄ちゃんはびちゃびちゃだった。
ずっと、僕の方に傘を傾けてくれていた。
本当に優しい。
「だから言ったのに!タオル持ってくるね!」
僕は急いでタオルを持ってきた。
風邪引かれたら困るしね!
「兄ちゃん!頭下げて!」
「は?!自分で拭けるよ!」
「いいから!兄ちゃんが濡れたのは僕のせいだから!」
「……」
兄ちゃんは黙って頭を下げた。
「よし!」
僕は兄ちゃんの頭をぐしゃぐしゃと拭いた。
「ちょっ!俊!」
兄ちゃんからガッと腕を掴まれる。
「優しくしてくれ。痛い。」
「ご、ごめ……////」
髪から雫が垂れている兄ちゃんの顔がとても近く顔が赤くなってしまう。
「……優しくする////」
「頼む……」
とりあえず拭き終わり、僕達はリビングに向かう。
キッチンからいい匂いがしてきた。
この匂いは……
「オムライス!」
「正解!よく分かったな!」
「大好物だから!」
やったぁ!今日はオムライスかぁ!
早く食べたいなぁ!
「よし!俊!出来たぞ!」
「美味しそう!いただきます!」
僕は一口分スプーンに乗せ口に含む。
「美味しい!!兄ちゃんってやっぱり料理上手いね!」
「普通だよ、こんなの。」
普通かぁ……やっぱり凄いや……
あ、そう言えば……
「ねぇ、兄ちゃん。」
「ん?」
「今日ね保健の嘉神先生に会ったんだけど。」
兄ちゃんの顔が暗くなった。
やっぱ何かあるんだ。
「……嫌い?」