第2章 知らなかった
結城side
食事中に俊が『嘉神』という名を出してきた。
その名前は聞きたくない。
「嫌い?」
「……なんで?」
「……嘉神先生が兄ちゃんの事、自分に対して冷たいって。避けてる感じだって。」
「……うん、嫌いだよ。」
「……そっか……でもね、いい先生だと思うよ?」
……俊まで……
アイツは危険なのに……見てすぐ分かった。
コイツは違うって。
けど、俊は惑わされてるのか。
「優しいし……」
……アイツの話はしないでくれ。
「それにね、笑顔で治療してくれるんだよ?」
俺は我慢ができなくなり、俊にキスをしてしまっていた。
「んっ!?兄ちゃん!?////」
俊は驚いて立ち上がる。
そのままソファーの方に押し倒し馬乗りになる。
「兄ちゃんっ!何やってんの?!離して!」
「……アイツの話……するな。」
「え……」
俺は俊の腕を抑え深いキスをした。
「んっ……////」
声が漏れる。
「嘉神のことは……口に出さないでくれ。」
俺はずっと俊の事が好きだった。
兄弟として、じゃない。
恋愛対象として、だ。
だが、そんなの言えるわけもなく、黙っていた。
「兄ちゃんっ!やめてっ!////」
首に吸い付くと酷く嫌がった。
痛い……そう言いながら俺の方から顔を背ける。
吸い続けるとキスマークという痣が付いた。
「これで……オレのもんだ……俊。」