第6章 我慢……
俊side
全然気づかなかった……
僕、泣いてる……
「やっぱ気づいてなかった?」
和也さんは僕の頭を撫でながら続けた。
「……本当は嫌だったんでしょ?」
その言葉に僕は思い返す。
和也さんに触れられた時、正直ドキドキして、気持ちよかった。
でも、心のどこかで嫌だ、駄目だって分かってた。
なのに僕は……
最低だ、僕……
兄ちゃん以外の人と……
「俊くん、結城のこと好き?」
「はい、もちろんです。」
「うん……結城もね君のこと大好きだよ?だからねずっと言ってるよ?『もう、俊以外は抱かない』って……俊くんの事が好きって知ってるのに女抱いたこと反省してた。」
和也さんは僕の目をしっかりと見つめ直す。
「だからさ、約束して欲しい。俊くんも結城以外の人から抱かれないで?」
和也さんの綺麗な暗い茶色の瞳を見ていると嫌だとは言えない。
だってこんなに真剣な目で言われたら……
和也さんは兄ちゃんにとってもいい関係だと思う。
「……はい……ごめんなさい、和也さん……」
「え?なんで俺?」
「いや、その……あんな事……」
すると和也さんは笑顔になり、
「いいよ。あと、俺じゃなくて結城に謝るだろ、普通。」
兄ちゃん……ごめんなさい。
僕、約束するよ?
だから僕も信じてもいいかな?
「じゃ、指切りげんまん♪あ、このことは結城に内緒ね?」
「?約束の事ですか?」
「うん……アイツいろいろめんどくせぇから(笑)」
「はい(笑)」
僕らは小指どうしを絡めて約束した。
これからは兄ちゃんが帰ってくるまで我慢!