第5章 悪いのは……
結城side
その日、母さんは帰ってくるのは遅くなると言っていたが結局帰ってこなかった。
携帯に連絡が来ていた。
『急に帰れなくなった。ごめんなさい。』
こういうのは何度もあったから慣れていた。
正直、母さんがいない日の俊は調子が良いから俺自身嬉しい。
母さんが俊に対して冷たくなったのは俊が小学校に入ったときくらいからだ。
テストの点数が70点台ばかりだった。
70点いけばいい方だと思うけど……
母さんは気にくわなかったようで、酷く叱っていた。
それからは俊のことは無視。
もしくは冷たく話す。
俺は母さんの態度にムカつく時がよくある。
自分の実の息子なのにまるで他人のようだ。
下手したら暴力でも振られそうだ。
そうならないように俺は気を使っている。
前回と今回、俊は100点を連発で取ってきた。
この結果を見れば母さんだって変わってくれるはず。
だから、今日だけは母さんに帰ってきて欲しかった。
「兄ちゃーん……僕、もう寝るね……」
目を擦りながら枕を抱え歩いてきた。
「あぁ、おやすみ♪」
「おやすみなさい……」
俊が2階へ上がっていく。
俺もそろそろ寝ようと部屋に向かった。
「っ?!俊!?それ、俺のベッド……」
「ん〜……兄ちゃ……ムニャ……」
コイツわざと……っ!
俺は仕方なく俊の隣で寝た。
嫌という訳ではない。
理性が保てないのだ。