第2章 知らなかった
俊side
「ねぇ、兄ちゃん……僕さ、聞いちゃったんだ。今日の夕方、女の人と……その……部屋で……」
「あ……」
兄ちゃんも分かったのだろう。
僕が何が言いたいのか。
「なんで?」
「……それは……」
「うん……」
兄ちゃんは言いたくなさそうだった。
でも知りたかった。
この不安を無くしたかった。
「……俺、ずっとお前の事が好きだったけど、実の弟だろ?だから、手出しできねぇし。けどよ、やっぱ俺も男だし、その……我慢出来なくなって……それでストレス発散的な感じで……」
「……」
何も言えない。
「……で、でも!女とヤッててもお前の顔しか思い浮かばねぇんだよ……何やってんだろって毎回後悔して、だからって俊を傷つけたくなかったし。……嫌だよな。ごめん。」
そうだったんだ……
僕……なんか考えすぎかな……
少し、スッキリした。
「……ううん。いいよ。本当の事言ってくれてありがと!」
「……うん。」
「今度からは無理しなくていいから。じゃないと、逆に傷ついちゃうかも。」
「うん。一生愛すから。守ってやるから。」
良かった。安心した。
僕、兄ちゃんに本当に愛されてるって事がわかった。
これから、兄ちゃんとの生活がもっと楽しみになった。