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僕だけが知っているお兄ちゃん 【R18】

第13章 あと一度だけでいいから……


俊side

暑い部屋……淀んだ空気……吐きそうな臭い……
ここは?

「ん……」

目の前には僕と同じ年位の男の子……

「うわっんっ!!」

驚いて叫ぼうとしたら口を塞がれた。

「しっ!静かにしないと……アイツ来ちゃう……」

アイツ?

ていうかこの子見たことある気がする。
服装を見ると、かなりボロボロで痣がいくつか付いている。

「……ね……ここは?」

僕は小声で話す……

「僕にもわからない……もう何日もここにいるんだ。冷房も無くて、食べ物も……1日1回……」

え……なにそれ……

「君名前は?」

「えっと……俊……」

「俊か……僕は明(あき)。」

明……あっ!思い出した!行方不明になってた子だ!
こんな所に……

「……どうして帰らないの?」

「……帰れない。何度も帰ろうとしたけど、見つかって……こんなふうに……」

そう言って痣を見せる。
酷い……

「たぶん、僕はもう時期殺される……僕の前の子もそうだったから。次は君の番……」

「殺される?」

「うん、要済みになったら捨てられるんだ。ゴミみたいに……」

すると、明くんは涙を流し始めた。

「……あと1回だけでいいから……母さん達に会いたい……兄ちゃんや姉ちゃん、父さんにも……会いたかった。」

「……会いに行けばいいじゃん。」

「は?そんな簡単な事言うけど……無理だよ。」

「大丈夫、僕も手伝うから。僕はまだ殺されないんでしょ?だったら大丈夫だよ。出入口さえ分かってれば。」

「……けど。俊くんに危険が「大丈夫だから。」」

明くんは困った顔をした。

「もしさ、外に出たら僕の家族にこれ渡して欲しい。僕は無事だよって。お願い。」

「……うん、分かった!」

僕は笑顔になった明くんにミサンガを渡した。

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