第12章 黒い影
和也side
時計の針は19時半を指す。
この時間になっても帰ってこないのはおかしい。
「ほら、言っただろ?……最近、変な奴がいるって。」
「あぁ……」
前に昼飯を食いながら話した覚えがある。
一緒に帰ってると言っていた。
「俺のせいだ……俺が仕事断って早く帰ってれば……」
結城は頭を抱える。
こんな結城は今まで見たこと無い……
「結城……今日はもう帰れ。母さんが心配するだろ?俊くんも帰ってくるかもしれねぇだろ?」
「うん……ごめんな、巻き込んで。」
「いや、大丈夫だよ。親友だろ?俺も協力する。とりあえず、朝まで待ってようぜ?」
結城は重そうに立ち上がり玄関に向かった。
元気の無い背中を向け家を出ていった。
そして、朝になっても俊くんが帰ってくることは無かった。
結城からの連絡を通じて知った。
結城の母親が警察に捜索願を出し、結城が学校に来ることは無かった。
あいつの事だからきっと走り回って探してるんだろう。
けど、たぶん見つかんねぇ気がすんだよな。
あのニュースと関係している可能性は大だ。
今までの子も見つからず、結局遺体で発見……
そんなのは絶対嫌だ。