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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第2章 出会い


『ー♪ー♪~♪♪~♪~~♪』
何の歌だろうか。
ハミング音にマルコの意識が浮上し始める。

“起きろ”

マルコは自分自身に命じた。
それでも暫く閉じ続けていた瞼は、開き方を忘れたように動かない。

“起きろ!”

僅かながら焦燥に駆られるマルコ。
『♪~♪♪♪ーーー♪~』
だが、その耳に再び届くハミング音は、不思議とマルコの焦燥を溶かし、穏やかにしていく。
『~♪ーー♪♪~~♪ーー』
透き通るような音に導かれるように、マルコはゆっくりと目を開けた。
「・・・」
深く深く青い色の静かな海が、また見えた気がした。
驚いてもう一度目を閉じてから開くと、そこにはマルコの顔を心配そうに見つめる少女の姿があった。
「 ・・・ここはどこだよい?」
自分を見つめる不思議な色の瞳に、マルコは少しの“間(マ)”と沈黙を要した後、口を開いた。
「あなたが倒れた森の奥、大丈夫、あなたを追っていた人はここに来られないから」
断言する物言いに疑問を感じるも、少女の隠れんぼでも楽しんでるような口調に、マルコはそれを伝えるべきか逡巡してしまう。
いつもの自分なら即座に聞き返し、しかも口調を尖らせたに違いない。
だが、青年というには幼く、少年というには可愛さにかける、大人と子供の間の年を迎えたマルコには
自分よりも年下の、しかも少女にそうすることは憚(ハバカ)られた。

“やりにくいよい”

何より、自分を見つめる不思議な色の瞳はマルコの心を絶えず揺らがせる。
濃い紫と鮮やかな青色を混ぜたような深い透明感のある瞳は、静けさの中に幻想的な何かを感じさせる。
それはマルコの心に穏やかさと、高揚感という相反する感情をもたらしていた。


『まさに“瑠璃色”だねぇ』
後に、少女にの瞳を表して仲間のイゾウが言う、その色の名を、
マルコはまだ知らない。
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