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海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第17章 それぞれの想い


「沙羅、気をつけて行ってこい」
この一言を言うのに、どれ程心が抵抗したことか。
ずっとそばにいると誓い、
そばにいるのが当たり前だったこの一年。
しかし、
今回ばかりは一緒に行くことはできず。
ましてや、同行するのは恋敵としてもっとも恐れているイゾウ。
もし、沙羅の心をイゾウが捕らえたら。
もし、イゾウが本気で想いを告げたら。
もし、二人の心が通じ合ったら。
考えれば考える程、心は黒く濁った。
行かせたくない。見送りたくない。
恐らく、本気で『行くな』と言えば沙羅は止めるだろう。
然りとて、沙羅の気持ちを思えば、そんな強行に及ぶことはできなかった。
悩みに悩んで、それでもまだ悩んで、マルコは沙羅の背中を押すことにした。
「!マルコ・・・」
まさか聞くことが出来るとは思っていなかったその言葉に、沙羅は息を呑んだ。
マルコが今回の旅に反対しているのは感じていた。
それにも関わらず、送り出してくれるのは沙羅の気持ちを思い遣ってのこと。
いつだってマルコはそうだった。
じんわりと沙羅の心が温まる。
この気持ちをどう表現したらいいかわからない。
嬉しくて、
感謝しきれなくて、
幸せで・・・。
ただ、少しでもこの思いが伝えたいと、沙羅は精一杯の笑顔を浮かべて言った。
「ありがとうマルコ、気をつけるね!」
「よい」
その思いが伝わったのかは沙羅にはわからない。
ただ、マルコがいつもの穏やかな笑顔を浮かべてくれたことが堪らなく嬉しかった。

“行ってきます、マルコ”

翌朝、沙羅とイゾウは和の国へと旅立った。
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