第16章 決戦のハレム島
小梅の話を基に、マルコはハレム島のどこかにあるゾイドやヒョウの巣くう屋敷を探していた。
その場所はホテルの近くで、恐らく地下であろう。
当たりをつけたマルコは多数の船員を動員し、堂々と地下屋敷への入口を、探索していた。
どうせ、向こうにはわかっているのだから。
ヒョウがゾイドの仲間とわかった今、こそこそする必要などないのだ。
マルコは連日の探索によって潰された入口候補の載った地図を眺めた。
そして、その中の一点を眺めた。
「やっぱり、そこか?」
そんなマルコの背中に沙羅を伴ってやってきたサッチが声をかけた。
「あぁ・・・」
マルコとサッチの視線の先には、先日ラクヨウを唖然とさせた享楽に溺れる施設。
無論、一番に調べたそこではあるが、怪しすぎるその施設に地下屋敷への入口は見つからず。
一旦、探索の輪を広げたのだがそれらしい入口は見つからなかった。
やはり、もう一度調べるしかない。
「私も行こうか?」
その言葉にマルコとサッチは困った表情を浮かべた。
正直、沙羅の観察眼は確かだ。
加えて、自分達とは違った感覚で見ることのできる沙羅ならばわかることもあるかもしれない。
だが、あの男の欲にまみれた世界に沙羅を連れて行くのはいかがなものか。
“どうするよ?”
サッチがちらりとマルコを見た。
事、沙羅に関してはマルコの考えを優先させるサッチ。
と、そこへ問題の施設へ、日夜通いつめているイゾウが姿を現した。
「それなんだが、ちょいと気になる場所を見つけたぜ」
艶やかな黒髪を下ろし、さらりと着流しを纏い、微かに石鹸の香りを漂わせたイゾウにサッチはにやにやといやらしい笑みを浮かべた。
“喰ってきただろ?”
軽く肘で小突けば、恐ろしく冷たい目線で睨まれた。
どうやらご機嫌斜めらしい。肩を竦めたサッチに沙羅が笑って言った。
「サッチ、イゾウ隊長は香水が染み付いて嫌なのよ」
「「・・・」」
何故沙羅がイゾウの不機嫌な理由を知っているのか、どんな流れでそんな会話になったのか、マルコとサッチは疑問に思わずにはいられなかった。
が、しかし、今はイゾウが持ってきた情報が先だ。
「気になるってのは?」
マルコは努めて冷静に話した。
「ナイトルームってやつさ」
イゾウは話し出した。