• テキストサイズ

海を想う、海を愛する。【ONE PIECE】

第3章 偉大なる双璧


 二人に別れを告げた歳三はその足で白ひげを訪ねた。
扉を開ければ、そこには白ひげと、歳三の妻、お琴がいた。
「お邪魔だったかな」
「グラララ~、いい所にくるじゃね~か」
白ひげは特徴のある笑い声をあげて、歳三に座るよう促した。
「今、こいつに沙羅を頼んでたとこだぁ」
白ひげ海賊団に“娘”はいない。
だが、女にしかわからないこともある。
そう思った白ひげは歳三の妻、お琴を頼った。
「視線だけで、男を落とせるようにしようかねぇ」
艶っぽく話す姿は、とても五十半ばには見えない。
それもそのはず。
くノ一として暗躍しながら、かつて、和の国では押しも押されもせぬ、名芸妓(メイゲイコ)琴音太夫(コトネタユウ)として知られたお琴。
「ハハハ、ニューゲート、頼む相手を間違えたな」
「グラララ~、違ぇねぇ~」
「おやまぁ、お前さん達、今日の沙羅の歓迎の宴は水でいいんだねぇ」
お琴の言葉に苦笑いをする二人。
その応酬が暫し続いた後、歳三は思い出したように言った。
「先程、沙羅に会ったのだが・・・やはり見えるようだな」
「覇気かい?まだ子供だって言うのに、見えちまうのかい?」
お琴は思わず柳眉をひそめた。
覇気は常に発しているものでもなければ、具現化しない限り、人に見えるものでもない。
だが沙羅はその稀有な力故に、内に秘めた覇気を見ることができた。
「先祖返りらしい、ユエも心配してやがった」
「見目が“そのもの”のユエさんの子に、力が現れるなんてねぇ」
言いながら、窓から見える海に向けられた視線には哀愁が漂う。
「海神伝説か・・・」
歳三も物憂げに小さく呟いた。
「世界政府からも海賊からも狙われて・・・」
思わず言葉を詰まらせるお琴。
すると白ひげはニヤリと笑った。
「恐るに足らん。おれは白ひげだ!!!」
歳三とお琴は顔を見合わせた。
「ハハハ!さすがは、儂らの船長じゃ」
「泥舟じゃなくてよかったねぇ」
「「「・・・」」」
グララララ~、ハッハハ~、ホホホホホ~、三人三様の笑いが船長室から溢れた。

 その夜の宴には酒樽が大量に用意されたのは言うまでもない。
/ 366ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp