第6章 Firefly
【智side】
モニターを覗いた翔くんの顔が、凍りついた。
「誰が来たの?」
その肩越しにモニターを覗き込むと、映っていたのは松潤だった。
思わず翔くんの顔を見ると、ひどく恐ろしいものを見たように引き攣っていて。
何度チャイムの音が鳴っても、動こうとはしない。
だから、俺も息を殺してモニターに映る松潤の顔を見つめていたら、テーブルに置きっぱなしの俺の携帯が鳴りだした。
もう一度モニターを確認すると、薄笑いを浮かべて、携帯を耳に当てている。
「…っ、智くん…!」
翔くんの制止を振り切って、携帯を手に取る。
「…はい」
『あ、リーダー?開けてよ』
携帯の向こうの声と、モニターに映る口の動きがリンクする。
翔くんを見ると、激しく首を横に振ったけど。
『いるんでしょ?開けてくれないなら…ここで、叫んでもいいけど?』
「……わかった」
「智くん、ダメっ!」
翔くんの悲鳴を無視して、
俺は開錠ボタンを、押した。
部屋に入ってきた松潤は、面白そうに笑みを浮かべて俺たちを見ると、さっきまで二人で座っていたソファにどかっと座り、俺のグラスを取って一気に飲み干した。
「…なにしに来たんだよ?」
俺が睨んでも、ククッと声を立てて笑って。
「なにって、決まってんじゃん。俺も交ぜてもらいにきたの」
その視線は、真っ直ぐに翔くんに向かってる。
俺は、彼を隠すようにその視線に割って入った。
「ねえ、今日はどっちが上なの?まあ、どっちでもいいか。俺、リーダーには興味ないし。翔くんしか、抱きたくないしね。ね、一緒に翔くんを抱こうよ?きっとすげー楽しいと思うけど?」
鳥肌が立った。
考えんのも、おぞましい。
「ふざけんな。帰れよ」
瞳にありったけの侮蔑を籠めて睨みつけると、松潤の表情が一変した。
能面みたいな、表情のない冷たい顔。
「ふざけてんのは、あんたらの方だろ。なに?なんなの?そんなにお互いのことだけ大事なの?俺らのことは、どうでもいいわけ?」
後ろにいる翔くんが、俺の手をぎゅっと握った。
小刻みに、震えていた。
「いいよ?嫌なら、雅紀も呼ぼうか。あ、ニノも。五人で乱交ってのも面白いんじゃない?」
その瞳の奥に、激しい怒りが燃え盛る。
「さ、どうする?翔さん。雅紀を呼ぶ?それとも、俺とリーダーに抱かれる?あんたが選びなよ」