第1章 うたかた
【智side】
ゆっくりと、翔くんが口の中に俺のものを招き入れていく。
それを瞬きもせずに、見つめていた。
火傷しそうな程に熱い彼の咥内の、ねっとりとした感触が俺のを包み込んで。
ゾクゾクと快感が背筋を駆け上がってきて。
思わず仰け反った。
「んっ、あぁ……」
もうすぐにでも激しく扱いて欲しいのに。
口に収めただけで、その先を焦らすように舌先でチロチロと舐めてくるだけ。
わかってる。
俺に、言わせたいんだ。
もっと、もっとって。
俺から仕掛けたはずなのに、
いつも服従させられるのは俺の方で。
なんか、悔しい。
俺が黙って見ていると、視線に気づいたのか、翔くんがチラリと視線だけをこっちに寄越して。
咥えたまま、唇の端だけを上げて微笑んだ。
その瞳の奥に、普段は絶対に見られない欲望の紅い光が湛えられていて。
「……っ……!」
一気に、体温が上がった。
同時に、中心もまた大きくなったのが自分でもわかって。
翔くんの瞳が、嬉しそうに細められる。
どくん、と心臓が跳ねた。
「…翔くん…もっと、激しくして……」
そうして、彼の望むように、望む言葉を吐き出させられるんだ。
俺の言葉にわかったとでも言うように、彼の手が袋をするりと撫でると。
ゆっくりと彼の頭が上下に動き出す。
「あっ……んっ………あぁ……」
俺の目の前で、自分のものが翔くんの口から出たり入ったりしてる。
それはひどく卑猥な光景で……。
「あぁっ……翔、くん…もっと……もっと、激しくして……!」
頭の芯が、痺れる。
身体の奥底からじわじわと沸き上がってくる快感に、呑み込まれてしまう。
もっと、翔くんを見つめていたいのに…。
なのに、彼は獲物を追い詰めるように口の動きを早めていって。
「あっ、あっ、あっ……き、もち、いいっ……!」
逃げられない圧倒的な快楽の波が押し寄せてきて。
抗えなくて、目を閉じる。
呑み込まれていく……。
「翔、く……あぁっ………だ、めっ……!」
脚が、勝手にガクガクと震えだして。
怖くて。
手を伸ばして、翔くんの髪に触れた。
すると、更に口の動きが早まって。
「あ、あ、ああっ……イクッ…んああっ!」
俺は、翔くんの口の中に、白濁を吐き出した。