第5章 TRAP
【翔side】
出来ることなら、ここまま逃げ出したい。
松潤の、射るような視線を感じながら、俺はただ俯くしかない。
LINEで、時間差で出る様にと彼に指示して、一人楽屋を出る。
脚が、鉛のように重い。
家について暫くするとエントランスのチャイムが来客を告げた。
『来た』俺はモニターで来客の顔を確認すると、ロックを解除した。
玄関を開けると、勝ち誇ったような松潤が立っていて、中へと招いた瞬間、強引に唇を重ねてきた。
「んん///...やっ..ん...」
強い力で壁に押し付けられ、無理やり入り込んできた舌が、俺のを捉えて絡め取る。
息ができなくて、もがくけど、両手を上で拘束されていて身動きが取れない。
息の仕方が分からなくて、意識が遠のきかけたとき、やっと潤が解放してくれた。
咽ながら俺は、何度も大きく息を吸い込み、呼吸と整えた。
「...じゅん...いきなり..ゴホッ..」
松潤はそれには応えず、『おじゃましま~す🎵』と鞄を肩に担ぎ、リビングに入っていった。
仕方なく俺もその後に付いて行った。
部屋に入ると、キョロキョロと辺りを見回している松潤。
「何だよ...?珍しいもんなんか、なんも..」
「リーダーの痕跡、何かないかな~と思って🎵」
と被せるようにそう言った。
それに対して、俺が何か答えようとする前に、
「ある訳ないか!相葉くんもここに来るんだもんね~...そんなのあったら、バレちゃうしね!」
「.........」
俺が黙っているのが面白くないのか、松潤は、ゆっくり俺の側に来て、俺の身体を指先で撫で回した。
「もっとさ、楽しそうにしてよ~折角、一緒にいるんじゃん!仲良くしようよ..」
そう言いながら、不意に俺の股間をぎゅっと握った。
「んんっ///」
一瞬身体を折って彼の手を逃れようとした俺は、
潤の顔を睨みつけた。
「いいね~...そう言う顔も嫌いじゃないよ...しょ~おくん❤」
目を伏せた俺に、『お腹空いてる?』と聞いてきた。
『空いてない』と答えると、
「じゃあ、早速一緒にお風呂入ろうよ~♪」
そう言って、俺の手を取って、風呂場に向かう。
俺は何も言わず彼に従った。
......底なしの沼が、俺の脚をどんどん奥へと引き込んでくような、そんな感覚だった。