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スパイラル 〜螺旋の先〜【気象系BL】

第5章 TRAP


【潤side】

金曜日。
昼間は5人での雑誌の撮影が入っていた。

楽屋は、いつも通り、なにも変わらない。

ニノとリーダーは、ぴったりくっついてお互いゲームをしてる。

翔さんと相葉くんは、少し離れて座り本を読んでる。

翔さんは、ぱっと見はいつも通り。

だけど時々視線を上げて、相葉くんを見たり、リーダーを見たりしてる。
不安そうに揺れる瞳で。

だから、わざと俺は翔さんをじっと見つめていた。

一度も俺の方は見なかった。
だけど、視線を感じてはいるらしく、居心地悪そうに俺に背中を向けて座り直した。

これから食べられるのがわかってて、それでも逃げ出すことが出来なくて震えてる、兎みたいだ。

ゾクゾクする。

まさかこんなチャンスが回ってくるとは思わなかった。
ずっと欲しくて、でも相葉くんと付き合いだしたときに、諦めかけていたのに。

リーダーに感謝しないとな…。

何気なく、リーダーに視線を移して。

そうしたら、携帯ゲームに興じてると思ってた彼はじっと俺のことを見つめていて。

だから、微笑んでやった。
ありがとね、全部あんたのお陰だよ。
心の中で、付け足しながら。

リーダーは弾かれたように、びっくりした顔になって。
途端、不安そうに瞳を揺らした。

なにか、感じたかな?
まさか今日のことを話してはないだろうけど。

面白くなった俺は、一度視線を外して翔さんの方に向けて。
それからまたリーダーの方に戻して、もっと笑みを深めた。

リーダーの瞳が、大きく見開かれて。
なにか言いたげに口を開いたけど。

ニノに話しかけられて、結局なにを言うこともなかった。

壊してやるよ。
なにもかも、全部。

本当は………翔さんの全てが欲しいんだよ。





撮影が終わって帰り支度をしていたら、LINEの通知音が鳴った。

”俺が出てから、15分経ったら出てくれ“

本当は一緒に出て、リーダーと相葉さんを牽制してやろうかと思ったけど、まぁ今日は止めておこう。

時間はいくらでもあるんだし。

どうやったら彼を完全に俺のものにできるのか、作戦をちゃんと立てとかないとね。

そんなことを考えながら、彼の部屋のインターフォンを押す。

ゆっくりと開いたドアの向こうから顔をひきつらせた翔さんが現れて。

俺は、力任せにその腕を引っ張ると

噛みつくように、唇を重ねた。


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