第4章 Sugar and Salt
【雅紀side】
雅紀って、翔ちゃんが呼んだ。
相葉くんじゃなくて、雅紀って。
それだけでもう、嬉しくて嬉しくて。
また涙が出そうになった。
その時、翔ちゃんのぽってりとした唇が少しずつ近付いてきて。
キス、してくれるんだ…。
俺は思わずぎゅっと目を閉じた。
鼻先で、翔ちゃんがクスッと笑う気配がして。
え?なに?
俺、なんか変なことした?
目を開こうとしたら、唇に温かい感触が、重なった。
翔ちゃんの唇は、柔らかくって、温かくって…。
最初はそっと優しく重ねられたけど、すぐに頭を抱き抱えられて、唇の隙間から、彼の熱い舌が入ってきた。
その舌が、いきものみたいに俺の口の中で蠢いて。
舌を絡め取られて、強く吸われて。
ぞくっと背筋が震えて。
思わず彼の背中に腕を回してしがみついて、必死に彼の動きに答えようと、自分からも舌を絡めた。
すると、彼の腕が今度は腰をぐいっと引き寄せてきて。
俺たちは隙間なくピッタリとくっついて、互いの唇を味わった。
そうしてるうちに、ゾワゾワとした感じが下半身に集まりだして。
全身の血液が、その一点に一気に流れるような感覚がして。
ヤバイ…キスだけで、もうイッちゃいそう…。
そんなこと考えてたら、もうジーンズを押し上げてたそれを、突然翔ちゃんの手がスルッて撫でて。
「んあっ……!」
思わず、唇を離してしまった。
俺と彼の唇の間には、透明な糸が繋がってて…。
翔ちゃんは優しく微笑むと、俺の唇をその赤い舌でペロッと舐めた。
「…雅紀…かわいいよ…」
いつもより低い、やたら色っぽい声で囁かれて。
恥ずかしくなって、その厚い胸板に顔を埋めた。
トクトクと、翔ちゃんの少し早い鼓動の音が聞こえる。
翔ちゃんも、少し緊張してんのかな?
俺なんか、もういつもの3倍くらいの早さで心臓動いてるけど。
彼の手が、背中をゆっくりと撫でてくれる。
落ち着けよって、言ってるみたいに。
目を閉じて、彼の鼓動を聞きながらそれを感じていると、ようやく少し緊張が解れてきて。
俺が落ち着いたのがわかったのか、きゅって少しだけ腕の力を強めて。
「…雅紀…おまえを抱いてもいい…?」
ひどく優しい声で、翔ちゃんが聞いた。