第4章 Sugar and Salt
【翔side】
相葉くんが大きな土鍋まで持参で、
大量の食材が入ったスーパーの袋を抱えてやって来た。
その姿は、季節外れのサンタクロースみたいで。
凍り付きそうだった俺の心を、
ゆっくりと解してくれた。
相葉くんが一生懸命作ってくれた、鶏...なんちゃらっていう鍋は、お世辞じゃなくホントに美味くて。
よく冷えたビールと、
温っかい鍋と、
そして何より、隣で無邪気に微笑む彼の笑顔が...
俺の気持ちを優しくしてくれた。
......泣きそうな顔してたよね?
...俺のせい...でしょ?
こんな優しくて明るくて、いい人代表みたいな彼のこと、俺は、傷付けていたんだ...
ごめんね......
鍋作ってもらったから、言う訳じゃないよ!
ホントにさ。
相葉くんの隣にいると、知らず知らずに笑顔になれる。ささくれだった心が、ふんわりと癒されていくんだ...
彼の隣なら、俺も変われるのかもしれない...
智くんのこと、忘れられるのかもしれない...
嬉しそうに話す彼の手を、そっと握った。
驚いたようにその手を見てから、ゆっくりと俺の顔を見た相葉くん...
不安なの??
その瞳は、ゆらゆら揺れていて。
俺は思わずその手を引き寄せて、彼の身体を胸の中に抱き留めた。
「......翔...ちゃん...」
「今日はホントにありがとう...相葉ちゃんの気持ち、嬉しかったよ。俺のこと元気づけてくれようって、そう思ったんでしょ?」
「そんなこと..」
彼の手が、ゆっくりと俺の背中に回る。
「俺さ...迷ってた。付き合うって言ってみたけど、どうしたらいいのかな?って.....
正直、今も迷ってるよ...でも。
あい...雅紀。」
「はいっ!」
俺は彼の身体を離し、その瞳を覗き込んだ。
「俺、雅紀と一緒に居たいって、そう思った...
雅紀と一緒なら、変われるんじゃ、ないか、って...」
「翔ちゃん....」
「雅紀.....」
ゆっくり顔を近付けると、彼はぎゅうっと目を閉じた。
フフッ...ムード無えなぁ~..
でも....可愛い...
俺はその唇にそっとキスをした。
重なったそこから、じんわり熱が伝わる。
俺は彼の頭を引き寄せ、角度を変えて唇を抉じ開け、その中へ舌を捩じり込んだ。