第1章 うたかた
【智side】
翔くんの男らしい手が、肌の上を滑っていく。
「…んっ……ぁ……」
胸の尖端を掠めると、思わず声が漏れてしまった。
翔くんは、再び首筋に唇を這わせながら、ゆっくりとした動作で俺の上半身を撫で回して。
「…あっ……翔、くん…っ……」
わざといいところを外した動きに焦れた俺は、強請るように彼の肩をきゅっと掴んだ。
「…智くん…?どうしたの?」
愉しそうに瞳をキラキラさせながら、身体を起こして俺の目を覗き込んでくる。
…この角度から見上げるの、すごく好きなんだよね…。
思わず、好きだよって言いそうになって。
「…っ……ちゃんと、気持ちいいとこ触って……?」
慌てて、また娼婦の仮面を貼り付ける。
「気持ちいいとこって……ここ?」
翔くんが、俺を見つめたまま、胸の尖端を指先で摘まんで。
「んんっ……」
身体が、勝手にピクリと揺れた。
「ここでしょ?どうして欲しいの?」
「……舐めて……」
恥ずかしさなんて、もう当の昔に捨て去ってしまったから、俺は素直に欲望を口にする。
「…仰せのままに…」
嬉しそうに微笑んで、身体をずらしていく。
翔くんが赤い舌を出して、胸の尖端をねっとりと舐めた。
もう片方は、指先で摘まんだり、掌で転がしたりしてて。
「……んっ……あ…ぁ……んぁ……」
俺は頭の下に枕を入れて、俺を愛撫する翔くんを見てた。
だって、今だけは、翔くんは俺のものだから。
俺のことだけ見て、俺のことだけを考えてくれる、俺だけの、翔くんだから。
だから、どんな些細な仕草も見逃さないように、なるべく目を開けて見ているようにしてる。
翔くんも、俺が見てるのを知ってるから、わざと舌を出して、いやらしくその突起を舐め回す。
「…ぁ……んんっ…きもち、い……」
直接肌から伝わる刺激と、視覚から伝わる刺激とで、俺の身体はあっという間に熱をもって。
無意識に、もうしっかり形を変えているそれを、翔くんに押し当てた。
「ふふ…どうして欲しいの?言ってごらんよ?」
今まで胸を弄ってた手が、ゆっくりと下半身に下りてきて。
わざとそこを外して、撫でた。
我慢できなくて、また欲望を口にする。
「お願い……俺の、ちんこ……触って……」