第1章 うたかた
【翔side】
シャワーを済ませ、髪を軽く乾かしてリビングに戻ると、ソファーに少し丸まった背中が見えた。
「...智くん..」
声を掛けると、彼は徐に立ち上がり、俺に向かって両腕を突き出して、小首を傾げた。
俺はゆっくりと彼に近付き、その身体を抱き上げた。
「わあっ///ちょっと...重いからっ..」
焦る彼に、
「ぜ~んぜん🎵軽いもんだよ...」と笑って見せた。
すると智くんは、俺の首に両手を回し、肩口に顔を埋め、耳元で、
「...好きにして..いいから...」
と言った。
...智くん...俺は、いつもこうやって君の罠に落ちていくんだ...
魔法にかかったみたいに、頭の奥が甘い痺れに浸食され、思考が上手く回らない...
気を抜くと、愛の言葉を囁いてしまいそうで。
欲しいのは智くんだけなんだって...
そう言ってしまいそうで...
俺は思わず、ぎゅっと目を閉じた。
...そんなことしたら、きっと君は、もうここには来ない...そうだろう~?
彼の身体をベッドに下すと、
君は瞳に妖艶な色を浮かべ、俺をじっと見つめる...
その妖しい光に吸い寄せられるように、
そっと唇と重ねた。
その瞬間はいつも、なぜだかドキドキして、震えてしまうんだ...
それを気付かれないように、俺は、薄く開いたその中に、早急に舌を捻じ込んだ。
熱い舌を探し当てて絡め取ると、君の方からそれを強く吸い上げた...
官能的な水音と、君が漏らす鼻に抜ける甘い息遣いが、俺を煽る絶妙なスパイス...
唇から、耳へ...そして首筋から...肩...
ゆっくり、いくつもキスを落としていく。
その刺激に、君の身体は小刻みに反応する。
バスローブの紐を解きそっと開くと、
見慣れた筋肉質の肌が現れた。
そっと指先で触れると、
「...ぁ..」
君は思わず声を漏らした。