第3章 Kagero
【智side】
すげー、かわいいな……。
素直に、そう思った。
当たり前だけど、ニノは男を抱くのは初めてで。
時々、挙動ったりしながら、俺の言うとおりに、一生懸命俺を気持ちよくしようとしてくれてる。
「…智…気持ちいい…?」
「んっ…あぁ……いい、よ……んんっ」
何度もそう声をかけながら、俺がちゃんと気持ちよくなってるか、確認しながら。
最初は、初心者だから、俺の思う通りのとこに当たんなくて。
もどかしくて、俺が抱いた方が良かったんじゃないかなって思ったけど。
額に汗かいて、必死に俺の言うこと聞いて。
すごく、真剣で熱い眼差しで、俺を見つめてきて。
ああ、俺、愛されてるんだなって…。
翔くんとするときの、逃げ場もなく追い詰められるような感覚じゃなくて。
緩やかだけど、じわじわと昇っていくような感覚。
だけど、すごく気持ちいい。
気持ちがあるだけで、こんなに違うんだ……。
緊張しているのか、コンドームがなかなか付けられなくて。
「貸して。付けてあげるよ」
そう言うと、情けない顔をした。
そんなのも、いちいち可愛い。
「…きて……ニノのおっきいの、ちょうだい…」
脚を広げて誘うと、急に緊張した面持ちになって。
「じゃ、いく、よ……」
何度か後孔にそれを擦り付けると、ゆっくりと中に押し入ってきた。
「ああぁぁっ……!」
「…うっ……キツ……」
初めての感覚に、ニノがうめき声をあげる。
俺の身体を労るように、ゆっくりと奥へ進んでくる。
もっと、乱暴にしても大丈夫なのに。
でも、嬉しい……。
「……ヤバイ……もう、イッちゃいそうなんだけど……」
最奥まで辿り着いて、荒い息を吐きながらそんなこと言う。
「いいよ。イッても」
わざと孔をきゅっと締めてやれば。
小さなうめき声をあげて、軽く睨んできた。
「いじわる……」
「そう?ニノが可愛いから、苛めたくなるんだよ」
「なに、それ…」
「…早く、動いて。俺の中、ニノでいっぱいにしてよ…」
ニノは、真剣な顔で頷いて。
抽送を開始した。
「あっ…あ、あ……あんっ……ニノっ……」
揺さぶられながら、俺は幸福感に包まれていた。
今なら、翔くんを忘れられそうな気が、した。