第3章 Kagero
【和也side】
大野さんと、シた。
初めてのそれは、まったく余裕がなくて、
大野さんにリードしてもらって、やっと収まるとこに収まって。
さてこれから...って時に、あっという間に出ちゃって...
俺...もう、恥ずかしくって...
穴があったら入りたい...
...まあ、実際入ってたけど...
大野さんは、『最初はしょうがないよ、そのうちに慣れれば大丈夫だから』って...
慰めてもらっても、何か惨めで...
落ち込んで、背中を向けて布団を被ってる俺を、背中から、大野さんはそっと抱き締めてくれた。
んで、
「ニノ...ありがとう...大事にしてもらって。
俺、凄く幸せだったよ...」
って...
「ホントに??だって俺...」
振り向いて急いで言った俺の口を、大野さんは自分の唇で塞いで黙らせた。
「折角の初めての夜じゃん...そんな顔すんなって~..それに俺、その前に一回イカしてもらってるんだもん♪おあいこ...でしょ?」
そう笑った大野さんの顔に、俺は嬉しいのと悔しいのと、情けないのと、幸せなのと...
いろんな感情がぐちゃぐちゃになって、
「智~//////」
彼の胸に跳びこんで泣いた。
でもそれは、やっぱり、幸せな温っかい涙だった。
しゃくりあげる俺の背中を、
大野さんは、ずっと優しく撫でていてくれた。
大野さんとの、情けない初めてのセックスは、
カッコ悪い、残念なものだったけど...
それでも、今までで、一番幸せなセックスだった。
翔さんに負けない!!
なんて、気合入れて臨んだ結果は、惨敗だろう、きっと...
でもね、
これだけは負けてないはず。
大野智を愛する気持ち。
年の割に童顔で、ちっともしっかりしてなくて、
リーダーなのにぼんやりしてて、
みんなの後ろにいるような人だけど..
でも、俺は知ってるよ。
見てないようで、しっかりみんなのこと、気に掛けてて、ちゃんと見守ってるんだ。
後ろに、大野さんがいてくれるって、そう思うから、俺たちは自由に、伸び伸びとできるんだ。
そんな押しつけがましくない愛情を、いつもみんなにくれる人。
これからは、俺があなたを守っていきたい。
誰にも負けない愛で、包んであげたい...
大野さんの腕の中、俺は静かに目を閉じた。