第3章 Kagero
【智side】
ニノが、与えてくれる快楽を、俺は目を閉じて受け入れていた。
目を開けていれば、俺を愛してくれているのが翔くんじゃないって、嫌でもわかってしまうから…。
固く目を閉じて、感覚だけに集中する。
胸を弄られて、思わず声が漏れた。
「…智…これ、イイの…?」
嬉しそうな声が聞こえて。
俺は薄く目を開いて、ニノを見つめた。
「…イイ…もっと、シテ…」
そうして彼の頭を抱き寄せる。
もっとして。
もっと溺れさせて。
翔くんのことなんか、微塵も思い出せないように。
もっともっと、欲しいんだ。
俺の中、ニノで埋め尽くしてよ……。
もっと強烈な刺激が欲しくて、俺は腰を揺らした。
すると、ようやくニノの手が、遠慮がちに中心に伸びてきて。
「んあぁぁ……」
握りこまれた瞬間、仰け反った。
「すごい…もう、ガチガチだね……気持ち、いいの……?」
ずっと欲しかった玩具を手に入れたような、彼の弾んだ声が、耳の奥に響く。
「んぁ…ニノ……早く……」
我慢できなくて、自分から腰を擦り付けた。
「…こう…?」
探るように、ゆっくりと彼の手が上下に動き出す。
「ん、ぁ…もっと、強く握って……」
「…こんな感じ…?」
さっきよりも強く握られて。
「んぁっ…」
身体が勝手に跳ねる。
「…智、気持ちいい…?」
「あっ…んあ……んっ…きもち、いい……もっと……」
更に強請ると、擦り上げる速度が上がった。
「こう…?いい……?」
「んっ…ぁ…ああっ……イイ……もっと…もっとして……!」
ニノの背中にしがみついて、快楽を貪る。
彼の唇が、俺のに重なって。
激しく咥内を犯されながら、強く擦り上げられて。
意識が混濁していく……。
「…智…かわいい…」
『…智くん…かわいいよ…』
ニノの声に、翔くんの声が重なって聞こえて…。
俺は必死に頭を振って、翔くんの幻影を追い出そうとする。
「…もっと……もっと、激しくして……!」
「……智……!」
ニノの息遣いも、激しくなってて。
もっと……
もっときてよ………
「あ、あ、あ…も、ヤバイ……!」
「…いいよ…イッて…」
身体の奥から迫りくるその渦に、身を委ねる。
「あ、あ、あっ……イク…イクっ…んんっ!」
俺は、ニノの掌の上に、吐き出した。