第3章 Kagero
【和也side】
相葉くんと翔さんが付き合い始めた。
いつもと変わない翔さんと比べて、相葉くんはもう笑っちゃうくらいに挙動ってる...
見たことないような難しい顔して台本を睨んでいたかと思うと、翔さんに一言呼ばれようものなら、
ホイホイ駆け寄ってく...
俺にはぶんぶん振ってる尻尾が見えた。
......でも、そんな彼が、羨ましい。
告白こそ、全力で、素の自分でぶつかったけど、
いざ付き合います、ってなったら、すっかり元通り。
視界の隅で大野さんの姿を捉えてはいても、
そこまで...
誘いたいのに、怖くて出来ないんだ。
断られたら、って思うし。何より、大野さんが嫌だと思うようなことは、出来る限り避けたかった。
だって、大野さんは、翔さんとの関係も、切れないと思う、って...
そう宣言しているし。
それでもいいから...なんて、綺麗ごと言っちゃった手前、
『俺だけ見て!!』なんて、そんなこと言う自信も、皆無だった。
そんな収録終わり、松潤と翔さんが次の現場に行ってしまうと、大野さんから声を掛けてきた。
「ニノ、これから空いてる~?」
「えっ??あ、ああ、もっ、もちろん!帰って寝るだけだし..」
......もう///これじゃ、動揺半端ないじゃん!
「寝るだけって、まだ7時だよ?...じゃあ、一緒に行ってもいい?ニノん家...」
まーじーかー///
「いいよ、いいに決まってる...」
俺はもう、踊りだしたい気持ちで、胸の中でガッツポーズしてた。
すると、
「相葉ちゃんも行く??」
って...
...えっ??嘘でしょ??
どうして相葉くんを誘うの??
すると相葉くんは、俺と大野さんを交互に見て、
「俺は、今夜は止めとくよ...明日ロケで早いんだ...」
そう笑った。
......相葉くんにしては、ナイスな選択!!
もしかして、気付いちゃ......いないよな?
......でも、どうしてだよ///
なんで、ここで他の人を誘っちゃうの??
大野さん......
付き合うって、どういうこと?
もしかして俺だけ、勘違いしてるの??
相葉くんに明日のロケの話を聞いている大野さんは、いつもと全く変わらなかった。
......大野さん...俺、分かんないよ...