第3章 Kagero
【翔side】
相葉くんはいつだってストレートで。
それは今に始まったことじゃないし、
そんなとこも、嫌いじゃないけど...
付き合うって返事してから、もう1ヶ月以上経つのに、俺たちはまだ、所謂『そう言う関係じゃない』
軽いキスくらいは、したことあるけど、
そこまで...
これじゃあ、付き合ってるなんて言わないよな...
相葉くんが不安になるのも、やむを得ない..
彼には申し訳ないけどさ。
俺、智くんとの関係を、相葉くんに話していない...
別に、黙っていれば分かんない...
確かにそれはそうかもしれないけど、
やっぱり後ろめたいんだよね。
彼が、真っすぐであればあるほど、騙してるような罪悪感がいつもあって...
ニノが、智くんと俺との関係を知ってて、付き合ってるっていうところがまた、俺が相葉くんの真正面から向き合えない理由の一つだったりするんだ。
智くんがニノと一線を越えた関係になっているのか、聞いてない...
月曜に会っても、智くんの身体から、ニノの影を感じることもない。
それに、二人は楽屋でも全く変わらず今まで通りだし。
あれなら、知らなければ気付かないだろう...
そんな日曜日。
その日は松潤と二人で、CMの発表会だった。
囲みの取材やイベントがあり、半日係りだった。
そんな合間の休憩時間、松潤が俺に、
「翔さん、この頃、調子どう?」
って聞いてきた。
「まあまあ..かな~..って、なんの調子??」
「ああ~...その辺はさ、いろいろよ..
まあまあ、って言うことは、上手くいってるんだね〜♪」
そう笑いながら、脚を組み直し、探るような目を俺に向けた。
......こいつさ、
相葉くんのこと言いたいのか?
...まずいな..あの相葉くんの態度じゃ、バレててもおかしく無い...
こいつ直球で聞いてきそうだし、
それはそれで面倒だから...
「俺ちょっと、トイレ、行ってくるわ~..」
と席を立った。
「ほ〜い♪」
射竦めるような松潤の視線から逃れることができて、俺は、廊下でほっと息をついた。
だから、気付かなかったんだ。
テーブルの上に放置してきた携帯が着信を告げて、震え始めたことに....
『相葉くん』
震えるその画面を、松潤がじっと見つめていたことにも....