第3章 Kagero
【翔side】
息をするのと一緒か...
『俺は、もういらない?』なんて言われて、俺は弾かれたように彼の身体を腕の中に抱き留めていた。
いらない訳なんかない///
10年前と変わらず、いや、その頃よりもずっと、
彼のことを愛してしまっているのに...
終わりにする、って...そう決めていたけど、それが実際にどういうことになるのか...
俺にも分からなかった。
普通のメンバーに戻るってことが、どんなことなのか?俺はそれで、どう変わってしまうのか?
......10年の中で、大野智という人が、当たり前の存在として俺の中に住み着いていて離れないんだ。
ニノと付き合う、
そう言った智くん...
俺も、相葉くんにOKした。
それでも、俺たちは尚、離れることが出来ない...
家族でも、兄弟でも、恋人でもなく...
もう、俺と智くんは、身体の一部...
いろんな疑問と、確認したいことと、
頭の中はぐちゃぐちゃだったけど。
もう戻ってこないと思ってた大切な宝物が、
今...
腕の中にある...
俺はそっと、彼の目を見つめてから、その唇にゆっくりと口づけた。
それだけでもう、鼻の奥が熱くなって、涙が出そうになる。
そっと重ねただけの唇を離し、
「智くん...抱いて...いいの?」
と、小さく言った。
すると、君は花のように笑って、
「抱いてくれなきゃ、困るよ...だって今日は青いネクタイだったじゃない?」
その言葉で、俺の中にあった、守るべき倫理とか、道徳とか、常識とか...
...いろんな壁が、一瞬で崩れた。
今度は、ぶつける様にその唇を奪った。
激しく貪り、誘うように開かれたその中へ、熱い舌を捻じ込んで、逃げる智くんのそれを追いかけて絡め取った。
......智くん...
この先には、何があるの?
俺たちは、地獄に落ちるの?
たとえ...そうなったとしても、
君を離したくない///
君がいない人生なんか、俺にとってはもう、無いにも等しいんだから...
堕ちていくなら、どこまでもふたり一緒だ。
ニノの...
相葉くんの...
悲しむ顔が、遠退いていって、そして弾けて消える。
....俺は、彼の身体を抱き上げて、寝室へと向かった。