第2章 Rigth Back To You
【翔side】
攻めの時は、いつもは見せない大野智の男の部分を魅せてくれるけど。
今夜の彼はいつもと違ってた。
完璧なまでの男臭さというか、
雄の目をして、俺を射竦めるような、
いつもと違う雰囲気を纏っている彼に、
俺はすっかり翻弄されていた。
そんな君が
『今日はめちゃくちゃに抱いていい?』
って、そう言うんだ。
その顔が、俺のスイッチを押した。
「..して..めちゃくちゃに...思いっきり抱いて欲しい..」
智くんは、俺のその言葉に、
少し笑った。その瞳の奥に、欲望の焔を青く燻らせて..
智くんは俺の手を引いて浴室からでると、
簡単に身体を拭いてバスローブを羽織らせた。
そのまま脱衣所を出ようとするから、
「智くん、髪の毛...」
と、焦っていった。すると、
「ガシガシ拭けば大丈夫っしょ!それより、1分でも早く、翔くんを抱きたいんだ...」
.....智くん..
羽織っただけのバスローブも、あっという間に剥ぎ取られ、気が付いたら、俺の上で智くんが腰を振ってた。
頬に張り付いた髪...
首筋を流れる汗....
『翔くん』と俺の名前を何度も呼ぶ、
切な気な響き....
このまま、君と一緒にどこまでも落ちていけたらいいのに....
「..あ..あ..あぁ..智くん..ダメッ..」
「ダメなんて...嘘ばっかり...俺のを咥え込んで離さないのは、翔くんの方じゃん...」
「..ああぁ..言わないで...」
智くんに揺さぶられながら、
がくがくと揺れる自分の脚を、
不思議なものを見るような感覚で見ていた。
ことが終わって、もう身体が動かない俺は、そのままベッドに俯せていた。
そんな俺にバスローブを掛けてくれながら、
智くんが言った。
「俺さ、ニノに好きだって言われた...付き合って欲しいって...」
いつもの、『ビールもらうよ』っていうのと、変わらないテンションで。
....付き合って..って....
智くん、何て答えたの?
最後になる....そんなこと思って帰ってきたのに、いざ丁度いい切欠になるような出来事に、
俺は恐くて動けない.....
ただ布団に顔を着けたまま、
君の顔も見れずに、じっとしていた。