第2章 Rigth Back To You
【翔side】
「相葉く〜ん...あの、この間の返事だけど...」
「うん...」
収録終わりに、帰ろうとする彼を、呼び止めてると、真剣な眼差しが、俺に向けられた。
「ごめんね、もう少しだけ...待ってもらえる?」
そう言うと、
「全然いいよ〜!じっくり考えてからで構わないから...だって俺、告白出来るまで、何年かかったと思ってんの?...もうしばらく、夢見させてよ!」
「夢って....何だよ、それ...」
相葉くんの笑顔が眩しかった。
そして今日は月曜日。
打ち合わせが終わって楽屋に戻った俺は、
スタイリストさんが用意してくれた、
幾つかのネクタイの中から、
赤とピンクのストライプを選んで着けた。
本番スタート。
カメラに向かって、いつものお辞儀をする。
...智くん..見てる?
今日は赤だよ。
俺を抱いてね...気が遠くなるほどに///
何もかも、忘れさせて...
俺は、その夜が、もしかしたら智くんとの、最後の逢瀬になるのかもしれない、と...
そう思っていた。
俺から始めたこの関係...
ずるずるとここまで引っ張ってしまったけど、
何の約束もできない、ふたりで出掛けることもない、
セックスの間に、愛の言葉さえ囁けない....
身体だけの、
週に一回だけのこんな歪んだ関係...
もともとおかしかったんだから。
智くんのこと、
縛り付けておく資格も、俺には、ない...
ああぁ...だけど...
君への想いが溢れだしそうで、
ずっと胸の奥に秘めていた本との気持ちが、
言葉になってこぼれ出しそうで、
.....もう苦しいんだよ////
今までの関係を続けていくことが...
相葉くんにあんなふうに言われなくても、
俺たちはもう、限界だったんだ。
一度狂ったまま動き出してしまった歯車は、途中で戻すことなんか出来ない。
どちらかが壊れてしまうまで、
回り続けるしかないんだ。
それなら。
壊れる前に、
止めるしかない...
智くん...
君は今、どんな気持ちで俺を待っているの?
ZEROが終わり、君のいる家に帰る。
これが、最後かもしれない...
......脚が、鉛のように重かった。