第2章 Rigth Back To You
【智side】
「大野さん、あなたが好きだ…。ずっと、ずーっと、好きだった……」
ニノの言葉が、真っ直ぐに俺の心の中に飛び込んできた。
もうずいぶん長いこと一緒にいるけど、こんなに素直な気持ちをぶつけてきたのは初めてかもしれなかった。
いつも、弱い自分を守るように、いろいろな言葉でガードを固めてるような奴だから。
コンサートで感極まっても、茶化すような言葉で誤魔化して、涙なんか見せようとしない男が。
恥もプライドもかなぐり捨てて、涙を流しながら、必死に自分の気持ちを訴えてる。
その涙が、あまりにも綺麗で。
彼の気持ちが、痛いほどに伝わってきて……。
ああ、バカだな、俺………
俺もこんな風に真っ直ぐに自分の気持ちを翔くんに伝えていたら
本当の恋人同士になれたのかも、しれないのに………
「……ニノ、ありがとう。おまえの気持ち、素直に嬉しいよ……」
ぐいっと袖口で涙を拭ったニノが、俺の言葉に驚いたように目を見開いた。
「大野さん……」
「でもな…俺、翔くんが、好きなんだ……」
おまえが真っ直ぐに来てくれたから。
だから、俺も素直な気持ちで答えたいと思う。
「…わかってるよ……だけど、諦められない。だって俺の方が大野さんのこと、好きだもん。この気持ちは、誰にも負けない。翔さんにだって」
うん、俺もわかってる。
だって、翔くんは俺のことを好きなわけじゃないから。
「俺の方が、大野さんを幸せに出来る。俺だったら、そんな悲しそうな顔、絶対にさせないから。だから、今は翔さんを好きでもいいんだ。そのうちに、俺の方を好きになってくれれば。ううん、絶対に好きにならせてみせる。だから、お願い。俺の側にいて?俺と…付き合ってください!」
目を逸らさずに、すごく真剣で熱い眼差しでそう言われて。
心が、ぐらぐらと揺れ動くのがわかる。
だって、ずっと寂しかった。
肌を重ねている時間はすごく熱くて幸せだったけど。
その後、肌を重ね合ったベットで、背中を向けて寝ることがひどく寂しくて。
俺だけが愛するんじゃなくて、
愛してほしかった。
ニノなら、それを与えてくれる。
わかってる。
だけど………
「ごめん…返事、ちょっと待ってもらえないか?ちゃんと、考える、から……」
俺は
まだ一縷の望みを捨てられない。