第2章 Rigth Back To You
【智side】
収録のあいだ、翔くんと相葉ちゃんのことが気になって仕方なくて。
俺は笑顔を浮かべることすら忘れて、ぼんやりと二人の顔を交互に見てた。
まぁ、俺が収録中にぼーっとしてるのはいつものことだから、「大野さん、目ぇ開けたまま寝ないでよ」とか翔くんが笑いに変えてくれたけど。
収録終わりに、松潤にすっげぇ怒られた。
「リーダー、なんかあったのかもしんないけど、あれはないわ。あんた、嵐の一員の自覚無さすぎ」
翔くんが取り成してくれたけど、松潤の言うことはもっともで。
…今日はまっすぐ家に帰って反省しよ。
そう思って帰り支度をしようとすると、ニノに松兄からの預かりものがあるから家に寄ってくれと声を掛けられた。
まぁ、飯食いに行くわけじゃねーから、ちょっと寄って帰ればいいか。
「わかった…」
そう返事をしたら、ニノが肩を組んできて。
「え、なに?」
「なにって、いいじゃん。嫌なの?」
「別に嫌じゃないけど…」
なんとなく、チラッと翔くんを見たけど、彼は俺に背中を向けてて。
表情を見ることは出来なかった。
「あれ〜どこやったかなぁ〜……」
ニノの部屋に着いて、物を貰ってさっさと帰ろうと思ってたのに。
松兄からの預かりもんなんて出てくる気配もなくて。
こいつ、騙しやがったな……。
「ごめ〜ん、なんか見つかんないわ。とりあえず、ビールでも飲まない?」
ヘラヘラしながら、そう言ってきた。
「…帰る」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「……おまえ、騙しただろ?」
「…ごめん」
てへって、悪びれた様子もなく、笑いやがった。
「……もう、いいや。食いもんは、おまえの奢りな?」
俺は仕方なくソファに座る。
ニノはすぐさまケータリングを注文して、ビールを持ってきて隣に座った。
「じゃ、乾杯!」
なにがそんなに嬉しいのか、ニノはすごく上機嫌で。
ほんと、こいつ俺のこと好きだよな。
なんでだ?
頭の片隅でそんなこと思いながら、なんだかんだと話をしながら結局三時間ほど飲んで。
もうそろそろ帰ろうかなと思ったときだった。
「…ねぇ、大野さんってさ…付き合ってる人、いるの?」
不意にそう聞かれて。
「えっ?」
思いきり動揺してニノの顔を見たら。
見たことのないほど真剣な眼差しが、俺を突き刺した。