第15章 One Step
【和也side】
まったくさ。
今始まったことじゃないけど。
悪気がないっていうか、無邪気だっていうか、
天使なのか悪魔なのか、もう分かんないけど。
人がオブラートに包んで言うこと、
敢えて知らいないふりしてやり過ごそうとしてること。興味があることはガンガン来る。
んで。
「あれ?ダメだった~?」
な~んて、しれっとしてる。
...翔さん、マジで。
ちゃんとしといてね、その人のこと。
そう思って翔さんに視線を向けると、なんともでれっと鼻の下伸ばしておじさんのこと見てる。
......ダメだこりゃ///
呆れた俺がつまみのチーズを食べていると、
隣の人が俺との距離を詰めて腰を密着させてきた。
何??って睨むと、
「俺さぁ~、昔っからニノの顔が好きだったんだよね~...この輪郭~??」
そう言いながら顎から頬のラインをするっと撫でた。
「やめろよ...」思わず鳥肌が立ったのを気づかれないように、俺は肩を竦めた。
「前から言ってたよね~♪まつずん...」
おじさん、言えてないから...なんか、目が座ってきてるし。
「昔さ、それでリーダーと松潤喧嘩してたよね~?」
相葉くんが思い出したように割り込んできた。
「何の喧嘩~?」翔さんも興味津々。
「なんらっけ?」
「ニノと、翔くんはどっちがイケメンか?...だっけ?」
...ちょっと待って?翔さんとそれ、張り合つもり、ないから。
「リーダーが絶対に翔くんの方がイケメンだっていうから、俺はニノもカッコいいって言ったんだよ...
この人さ!絶対に譲らないからね~?」
「そんなのさ、価値観の問題でしょ?」
この話題を打ち切りたいのか、翔さんが結論を言う。
...なのに。
「価値観じゃ、ない...誰が見ても、翔くんがイケメン!!だってほら...こんなにカッコいいもん...」
そう言いながら、両手で翔さんの頬を挟んで自分の方を向かせ、見つめあう二人...
何気に翔さんも満更でもない顔してデレデレしてる...
....アホくさっ///
呆れた俺の耳元で、松潤が、
「さっきの話、考えといてね~♪俺マジだから。」
って...。
思わず至近距離で見上げると、黒い瞳に吸い込まれそうになる。
...ヤバい...
これはまずい展開だ...
慌てて視線を反らすと、頷く翔さんと目が合った。