第2章 Rigth Back To You
【雅紀side】
ヤバイ……
ヤバイ、ヤバイ…………
紅白の司会、一人でやれって言われたって、こんなに緊張しないと思う。
あんまり緊張し過ぎて、きっと顔面蒼白になってるだろう俺を心配そうにニノが見てるけど、自分でもどうしようもない。
「相葉くん?大丈夫?なんか、すげー顔色悪いけど……そんな深刻な悩みなの?」
翔ちゃんにまで、そう言われて。
俺は思わず、ぶんぶんと勢いよく何度も頷いた。
「そ、そう!め、めちゃめちゃ深刻!もう、大変なんだからっ!!」
俺の言葉に、ニノがあちゃーって感じで顔をしかめたけど。
だって、仕方ないじゃんか!!
「そんなに深刻なの?それって、俺が聞いても大丈夫なやつ?なんだったら、他の人に相談した方が……」
「あっ、やっ、しょ、翔ちゃんに聞いてほしいのっ!!っていうか、翔ちゃんじゃないとダメっていうか…」
あまりの挙動不審ぶりに翔ちゃんが心配そうに眉を潜めるから、慌ててそう言うと。
すごいタイミングでニノのスマホが、鳴った。
「あ、ごめん、ちょっと…」
言い残して、部屋を出てって。
すぐに戻ってきたと思ったら、荷物を持って立ち上がる。
「ごめん、大野さんから、今からちょっと会えないかってさ…。なんか深刻そうだから、俺、そっち行ってくるね?ここは、翔さんに任せたから」
「えっ?智くんから?」
ニノの言葉に、翔ちゃんは腰を浮かせて。
「俺も一緒に行こうか?」
なんて、心配そうな顔して言った。
その顔に、ぎゅーっと心臓掴まれたみたいに痛くなって。
なんだよ…
俺の悩みは、リーダーより軽いのかよ……
知らず、拳を白くなるほどに握りしめていた。
「いや、大丈夫だから。相葉さんの話、聞いてやって?よろしく」
じゃ、って手を挙げて。
俺にしか見えないように、がんばれって口パクで伝えてくれた。
うん。
頑張るよ。
リーダーになんて、盗られてたまるか!!
ニノがいなくなって、重苦しい沈黙が落ちて。
覚悟を決めて顔をあげると、翔ちゃんはどこか寂しそうな顔で、ビールの入ったグラスを見つめてた。
なに、考えてんの……?
……リーダーの、こと……?
「ねぇ、翔ちゃん…俺の悩み、聞いてくれる?」
翔ちゃんが、ゆっくり俺に視線を合わせる。
「俺ね……翔ちゃんのことが、好き、なんだ……」