第14章 イチオクノホシ
【翔side】
奇しくも。
流れ星に願ったことは、同じたった。
俺、いつから智くんのとこ、好きだったんだろう?
気がついたら目で追ってる自分がいて、
でも、それがイコール恋だとは思わなかった。
まだ大人になりきれてない俺は、
男を好きになるってことがあるということなんて知らなくて。
自分の気持ちが分からなくて....
智くんが他のやつとじゃれ合うのを見て、
イライラしてる気持ちが、
謎でしかなかった。
簡単なことだったのに。
『好き』だったんだ。
その結論に辿り着いてから、俺は我ながら可愛かったなと思う。
京都の合宿所に、ついでを装い訪ねて行った。
もう夢中だった。
反面、こんな風に身体の関係なんか、
考えたこともなかった。
ただ、一緒に居られることが嬉しかった。
それが同じグループとしてデビューできて、
今、こうしてふたりでいられる...
あの頃の、自分のピュアさに、笑える...
俺が思い出し笑いをしていると、
寝たのかと思っていた智くんが、俺を見ていた。
「なに、ひとりで笑ってんだよ...」
「...あ、起きてたんだ..」
「翔くんがキモくて、寝られなかった!」
「はあ〜?嘘つけ...」
見つめあって、微笑み合う。
こんな穏やかな時間にさえ、
何だかいちいち感動して泣きそうになる。
「....なに考えてたの?」
身体を俺の方に向けて、顔を覗き混んでくるから、俺はそっとおでこにキスを落として、
「俺もそうとうしつこいな、と思ってさ..」
「な〜んだ、それなら俺の方が上だよ。」
「仕事中も、生放送中だって、いつでもこっそり、翔くんのこと、見てたからね❤」
「はははっ、それダメなやつじゃん...」
.....見つめ合う。
その瞳の中に泣きそうな俺を見て、目を反らした。すると智くんが、
「もっと見ててよ、俺のこと...ずっと見ててくれなきゃ...」
「...智くん...」
「.......また泣く〜...」
抱き締められて、思わずその胸に涙が溢れ落ちた。
自分が、こんなやつだったことを、
このタイミングで知るなんて。
「智くん...」
「翔くん...」
「...翔くんの目の中に、俺がいる...」
「どんな顔してる?」
「...デレデレ鼻の下、伸ばしてる..」
笑い合う俺たちは、いつまでも抱き締め合っていた。