第14章 イチオクノホシ
【翔side】
感動とか感激とか、そんなんじゃない気がするんだよね〜...でも、上手い言葉が見つからない。
強いて言うなら、
『俺は生涯、この星空を忘れることはないだろう』
智くんとふたりで、
ふたりっきりで眺めたこのハワイの星空。
この先何か困難にぶつかったとき、
『ここ、踏ん張りどころだ』というとき。
俺はきっと、この空を思い出すだろう...
「あ、流れ星...」
「ホントだ!あ〜消えちゃった〜...」
「でも、祈っとく?目を閉じて、祈ってる間に、また流れるかもしれないし。」
「うん、そうする!」
俺の提案に、智くんは素直を目を閉じた。
遠くから聞こえてくる人々の声も。
耳を擽る風も。
そして隣に感じる愛しい人の息遣いも。
忘れない.....
『死ぬまで...いや、死んでも、だな♪
死んでも智くんと離れることがありませんように...』
「.....おじいさんになっても翔くんと一緒にいられますように....」
隣でフツブツ願ってるけどさ。
聞こえてるってば...
一生懸命お願いしてるみたいだから、敢えて突っ込まなかったけど。
そんな智くんが可愛いから、そっと頬にキスをした。
驚いて目を開けて俺を見た智くんに、俺は笑顔を送った。
「翔くん、愛してる...」
そう近付いてくるちょっと尖った唇を、辺りを気にしながら頂いた。
帰りの集合時間になった。
参加者は口々に感動を伝え合い、ガイドさんへの感謝を口にしていた。
こっから、何台かに別れて戻ることになる。
すると。
すうっと歩いてきた金髪の男性二人連れが、俺に話しかけてきて、肩を叩き、ウインクして去っていった。
俺も軽く手を上げて応えといた。
「なに?今の人、何て言ってたの?」
訝しげな智くんに、
「あんたたちもゲイカップルだろ?って。彼女可愛くって羨ましいよ♪だってさ〜。」
「彼女って、俺のこと?」
「他にいないでしょ?」
「ふ〜ん...何で俺たちカップルだって分かったのかなぁ〜?」
....そりゃあ、分かるでしょ?
見る人が見れば。
いや、そうじゃない人にも言われたなぁ...
どうも、漏れだしちゃってるんだな〜..
気を付けていかなきゃ!
ハワイの開放的な雰囲気が、そうさせてるんだとおもった。
こうして、俺たちのサンセット&星空探索は終わった。