第14章 イチオクノホシ
【翔side】
ふたりで眺めるハワイの夜空は、まさに満天の星空。
降るような...というより寧ろ、俺たちふたりを包むように、180度のパノラマで広がっていて、
世界中にたったふたりだけなんじゃないかと
錯覚する程、美しく幻想的だった。
「..♪♪♪..♪♪♪♪♪♪♪♪..♪♪♪..」
不意に智くんがハミングを奏で始めた。
耳元で紡がれるそのメロディーに、
俺は暫く聞き惚れていた。
...ヤバい...泣きそう...
感動しすぎてることを悟られたくなくて、
「....歌ってよ..」そう振ってみると、
「..歌詞、忘れた..」って。
...そんなはずないのに。
「何だよそれ...」そう笑うと、智くんも笑った。
智くんが奏でたメロディーは、『イチオクノホシ』
『...あの日僕らが出会わなかったら♪』
その歌を、胸の中で歌ってみる...
なんか、テレる...
照れるけど、泣きそう。
「Beautiful daysは、ちょっと切ないじゃん?
だから、気持ち的には、こっちかな~、と思って」
智くんは、そう言いながら俺の頭を撫でた。
なんだか、ずっと昔からこうしていたような気がする。
嵐になる、ずっと前から...
もっと言うなら、生まれる前から...
すると、智くんが徐にボソッと言った。
「俺たちってさ、前世でも付き合ってたんじゃないかな~って思うんだよね...」
.......智くん...
...もう///
我慢してたのに...こんな星空の下で、恋人に凭れて泣くってさ...
俺のキャラにないだろ~///乙女すぎる...
「...翔くん、アイシテルヨ...」
そう呟いた智くんの声は震えてて、少し体を離して見つめた彼は、俺よりもっと号泣だった。
.....もうこの瞬間はさ、
俺たちが嵐だとか、言い年した大人だとか、男同士だとか。そんなことは全て忘れて、
「智く~ん///」
「翔く~ん///」
ふたり抱き合って泣いた。
後で考えると、まあ、信じらんないけどさ。
この無数の星の下。
隣に居られる幸せに...
言葉にはできないいろんな思いが溢れだしていた。
...人気のない深夜のビーチ。
智くんと俺は時間が過ぎるのも忘れて、
お互いの体温を確かめ合うように、
いつまでもいつまでも、抱き合っていた。