第14章 イチオクノホシ
【智side】
気がつけば、二人ともびしょ濡れ…。
海水だから、ベタベタするし、なんか匂うし。
「どうする?」
「どうするって…シャワー浴びるしかないでしょ」
俺が聞くと、翔くんが肩を竦めて。
また右手を差し出した。
手を繋いで部屋へ向かう途中、翔くんがぷっと吹き出して。
「いい年こいたおじさん二人がさ、ガキみてぇ」
頭から海水でびちょびちょの俺を見て、本当に可笑しそうに笑う。
「なんだよ〜!元はといえば、翔くんが初めにやったんだろ!」
口を尖らせてみせたけどさ。
翔くんの髪からぽたりと肩に落ちる滴が、なんかやたら色っぽくて。
水も滴るいい男っての?
うっかり口を開けて見とれそうになるから、慌てて視線を逸らした。
だけど、翔くんを誤魔化せるわけない。
繋いだ手を引っ張られて。
思わずバランスを崩しかけたと思ったら、次の瞬間には力強い腕で腰を引き寄せられて。
「なんか、エロいこと考えたんでしょ?」
耳元で、超低音ボイスで囁かれて。
心臓が、跳ね上がった。
「べ、別にっ!なんも考えてねーし!」
「そう?まぁ、身体に聞けばわかるけど?」
そう言って、ジーンズの上からスルッとそこを撫でられて。
「あんっ!」
思わず、声、出ちゃった。
「ふふっ…可愛い」
腰を抱かれたままシャワー室に入り、海水と砂まみれの服を脱ぎ捨てて。
蛇口を捻ると、熱いお湯が頭上から降ってくる。
それを浴びながら、翔くんに抱き締められて、キスされた。
「やっぱりエロいこと考えてるじゃん」
さっき吐き出したってのに、俺のはまた元気になっちゃってて。
翔くんはくすくす笑いながら、それを握る。
「後でね?夜、ゆっくり可愛がってあげる」
鼓膜を震わす艶めいた声にゾクゾクしたけど、翔くんの手は2、3回擦ると離れてった。
やたら冷静な翔くんを見てると、おっ勃ててる自分が恥ずかしくなってきて。
なんか、俺ばっかり盛ってるみたい。
ちょっと反省しよ。
俺はおとなしく、身体を洗ってシャワーを出た。
翔くんは、微笑みながら俺を黙ってみてる。
触ってくんないかな…。
ちょっと期待してベッドに横になったけど、彼は隣のベッドに腰かけてしまって。
そのまま目を閉じると、疲れもあってか、あっという間に睡魔が襲ってきて。
抗うことも出来ずに、身を任せた。