第14章 イチオクノホシ
【翔side】
砂浜を歩きたいなんて...
あんまり可愛いこと言うからさ。
日本から、まあ、飛行機の中はガッツリ寝ていたとはいえ、疲れてないといえば嘘になる。
にも拘らず、ホテルに着くや否やの一発。
明日は昼間ホエールウォッチングだし。
何だかんだと、俺らしく、いろいろ詰め込んじゃってるけど....取り敢えずは。
「行こっか..」
繋いだ手を引いて、俺たちは部屋を出た。
部屋からは、直接プライベートビーチに出られるようになっていた。
午後の日差しはまだ眩しくて、
足元の白い砂は熱かった。
「あ〜、でもなんか、爽やかだね〜風が違うよね、日本とは...」
「ほんと、そうだね〜...」
ゆっくりと、一歩一歩砂を踏みしめて歩く。
ビーチには数組の外国人が思い思いに過ごしていた。
「なんか、開放的になるよなぁ〜♪」
そう言った俺たちの少し先。
あ.....
ビキニの上だけ外した金髪のお姉さんが...
「.....」
思わず黙る俺の視線を追っていった智くんも、同じ金髪美人に辿り着いたらしい。
「...あ...」
目を反らすまで、5秒は見てたよな〜?
慌てて視線を俺に戻すと、怒った顔して智くんが言った。
「何見てんだよ〜///翔くんってば、やらしい...」
「はあ〜?...確認ですけど、今あなた、しっかり見てましたよね〜?」
「見てません〜!」
「見てました!少なくとも、俺以上に長く見惚れてましたけど〜?」
「見てねぇーし!!」
「見てたし!!」
.......言い合いながら、だんだん顔が近くなり、至近距離で睨み合ってからの〜....
ちゅっ❤
直ぐに離れて見つめ合い、吹き出した。
「くだらねぇ〜///マジで..」
「もう?何でここで、上島出川なんだよ〜///」
肩を抱き合って縺れながら大笑いをする俺たちを、さっきのトップレス美女とその恋人らしきマッチョも、何事かと振り返って見ていた。
暫く涙流して笑い合い、
俺たちは、波打ち際を手を繋いで歩いた。
「智くん!これ見て、ほらっ♪」
「えっ、どれ?」
砂浜を覗き込んだその時。
脚先で、彼の方に水を蹴ってやった。
もろに被った智くんは、
「よぉ〜し!!」と応戦。
ぎゃーぎゃー騒いで水を掛け合い、気がつけば俺たちはびしょ濡れだった。