第14章 イチオクノホシ
【翔side】
飛行機も、いつもは乗ると速攻で寝てしまう智くんも、二人っきりの海外旅行にテンションが上がるらしく、そわそわしていた。
窓の外を見たり、雑誌を広げたり閉じたり。
「ねえ~翔くん...後どんくらいだっけ?ハワイまで」
「まだ、乗って20分しか経ってないよ~?」
「マウイ島ってどうやって行くの?」
「今回は全泊マウイだから、ホノルルからそのまま国内線に乗り換えて30分くらいかな~」
「ああ、楽しみだね~♪鯨とかホントに見れるかなぁ..」
...全くホントに。小声とはいえ、周りは外国人が多いから、若干浮き気味じゃん...俺たち..
「智くん、静かにしないと、今夜、お仕置きするよ!」
耳元でそう言ってやると、子ども扱いされたことが気に入らないのか、唇を尖らせたけど、なんとか静かになった。
飛ばしていたのは最初だけで、直ぐに眠ってしまった俺たちを乗せたボーイング767は、眠ってる間に、無事、常夏の島、ホノルル空港に到着した。
乗り換えのためにロビーで、しばし時間が空いた。
「ねえ~翔ちゃん」
...またかよ~...今度は何??
「俺、お腹空いちゃったんだよね~」
機内で寝てたから、食事はどうするかとCAさんに聞かれ、いらないって手を振っていたのは自分だろ~?
「じゃあ、ホテル着いたらなんか食べようか?」
「それまでに、倒れちゃうかも..」
「はぁ~??」
我儘も、大概にしろ!って言いたいところだけど...可愛いから、許すか〜...
「じゃ、カフェで何か食べてくる?」
「うん♪♪」
.......からの~。目の前で超幸せそうな顔でパンケーキをほお張る智くん...
「美味しい??」
そう聞くと、うん!!って満面の笑み。
......ダメだ...可愛すぎる///
それから国内線でホノルルからマウイ島に渡り、そのままリムジンタクシーに乗って今回のホテルに到着した。
「ここ??ここなの~?凄いね、翔くん!こんなところ、超セレブじゃね~?」
...頼むから、落ち着いてくれ///
俺たちが泊まるホテルは、ビーチに面した高級リゾートホテル。スイートのその部屋からは、一面に真っ青なハワイの海が広がっていた。
「「やば~い///」」
俺たちは、一緒に叫んで、テラスに飛び出した。