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スパイラル 〜螺旋の先〜【気象系BL】

第14章 イチオクノホシ


【智side】

ハワイだって!
15周年の時に行って以来だ。

しかも、クジラも見れるみたいだし!
なにより、翔くんと二人きりだし!

二人きりで、愛し合うって…

翔くんの言葉を思い出して、急に顔が熱くなってきた。

慌ててパタパタと手で扇ぐ。

「なにやってんの?」
「や、別に…」

誤魔化したけど、翔くんにはお見通しだったみたいで。
クスッと小さく笑うと、左手をハンドルから離して、俺の手をぎゅっと握った。

「マウイ島はさ、オアフ島みたいに日本人いないから…手を繋いで歩くことだって出来るかもね?」
「えっ、ほんと?」

思わず反応しちゃった俺を見て、益々翔くんが笑った。

「ふふっ…智くん、可愛すぎ」
「か、可愛くないし!」

不貞腐れたポーズをしてみたけど、やっぱり頬がだらしなく緩んでしまって。

俺は繋いだ手を、強く握り返した。




空港に着いて車を預けると、マスクをして帽子を目深に被って、足早にカウンターへと向かう。

翔くんが手続きをしてくれている間、俺は少し離れた椅子から、その後ろ姿を眺めていた。

きっと、事務所といっぱい交渉してくれたんだろうな。
そうじゃなきゃ、5日間のオフを合わせるなんてこと、許されるはずないもん。
これからまた忙しくなる時期で、スケジュールたて込んでる筈だし。
だから、その前にって考えたのかな。

俺がぼーっとしてる間に、翔くんはいっぱい俺とのこと考えてくれてた。
その気持ちが、すごく嬉しくて。

俺も、もっとちゃんと考えよう。
翔くんとのこと、いつかとか、そのうちとかじゃなくて。

決意を新たにしていると、翔くんが手続きを終えて戻ってくる。

「ギリギリだから、急ごう」

そう言って歩き出すその大きくて逞しい背中を、追いかけた。

飛行機に乗り込んで、漸く一息吐く。

ホノルルまで七時間弱。

もう何度も一緒に飛行機に乗ったことあるのに、二人きりってシチュエーションにまたドキドキしてきて。

チラリと翔くんを見上げると、優しく微笑んで、毛布の下で、手を繋いでくれた。

「緊張してる?手、冷たくなってる」
「緊張っていうか…なんか、ドキドキしてる。変だよね、初めてでもないのに」
「俺も、同じだよ」

握った手に、力が籠って。

「良い思い出、作ろうね?」

その言葉に、俺も微笑んで頷いた。


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