第13章 キミの夢を見ていた
【翔side】
収録の後、3人でどっか行くみたいだった。
張り切って仕切ってる雅紀と、
何だかんだ嬉しそうな潤と、
迷惑顔のニノ....
そんな3人がワイワイ楽屋を出ていくのを、黙って見送ってたら、智くんが後ろから肩を叩いた。
「行こっか..」
「うん...」
智くんが優しく微笑んでるから、俺もつられて笑った。
きっと、あいつ等を見送る俺は、何とも情けない泣きそうな顔してたんだろうな。
「え〜っ?今日も櫻井さんちに行くんですか〜?」
智くんのマネが変な顔して俺たちを交互に見てる。
「ごめんね〜?夕べ映画のDVD途中までしか観れなくてさ、今夜続き観ようと思って///」
咄嗟に言い訳してみた。
急に思い付いたにしては、なかなかの信憑性だ。ところが、
「何の映画なんですか?」
そう突っ込まれて、焦った俺は、
「ロ、ローマの休日?」
.........
「男ふたりで、それですか?」
「.....」だよな。変だわ、やっぱ...
「俺、オードリーヘップバーンの超ファンなんだよ!めちゃめちゃ可愛いじゃん。あの人♪」
横から助け船を出す智くんは、絶妙のタイミングで。
「あ〜、分かります!清楚っていうかね〜」
...流石だ。担当マネの扱いには慣れてる。
「じゃ、明日は休みなんで!お疲れさまでした~」
智くんのマネが帰ってしまうと、俺たちは仲良くエレベーターに乗った。
「なんで、ローマの休日なの?」
ニヤニヤそう聞く智くんに、
「いや、だってさ、オードリーヘップバーンの超ファンなんだよ!」
そう答えると智くんは笑った。
玄関を入って靴を脱ぐと、後ろから抱き付いてきて、
「あのさ、今夜は翔くんを抱きたい...いい?」
「え...まあ、いい..けど..」
「よしゃあ!!そうと決まれば、今すぐシャワーしよっか///」
「兄さん、がっつき過ぎじゃね?」
そう笑う俺に、
「だってさ!腹もいっぱい、眠くもない!となれば、後は性欲しかないでしょ?違う~?」
...いや、まあ、そうでしょうけどね。そんなドヤ顔で言う必要ある~?
必要以上に張りきってる彼に、何だか一抹の不安も覚えるけどさ。
...智くん。今夜は可愛がってね♥
「ほら、行くよ♪」
風呂場に向かう智くんは、徐に振り返り最高の笑顔で右手を差し出した。