• テキストサイズ

スパイラル 〜螺旋の先〜【気象系BL】

第13章 キミの夢を見ていた


【雅紀side】

長い夢、かぁ。
確かにそうかも。

幸せで、でも苦しくて、哀しくて。
だけど思い返すとやっぱり幸せな夢だったなぁ…。

翔ちゃんの隣で過ごした日々が、走馬灯のように甦る。

付き合ってもいいよって言ってくれたあの日。
初めて抱いてくれた日。
翔ちゃんちに押し掛けるように一緒に暮らし初めて。
二人で笑い合いながらご飯を作って食べた日々。

どの思い出も、まだ俺の中でキラキラ輝いている。

辛くて、苦しくて、消えてしまいたくなることもいっぱいあったはずなのに。
思い出すのは楽しかったことばっかで…。

翔ちゃん、俺、まだこんなに好きだよ…。

涙が零れそうになって、唇を噛み締めたけど。
堪えきれなかった涙が、握りしめた拳に落ちた。

「泣くなよ、相葉くん…」

隣に座った松潤の手が、頭を撫でる。

「泣いてないし…」
「思いっきり、泣いてんだろ…」

そう言う松潤の声も震えてて。

もう、我慢出来なかった。

俺はテーブルに突っ伏して、声を上げて泣いた。

「…我慢しすぎなんだよ。バカなんだから、泣きたいなら我慢なんかすんな」

ニノの涙混じりの声が耳元で聞こえて。

次の瞬間、温かい体温に包まれた。

「…泣きたい時は思いっきり泣いて。で、明日からまた相葉くんらしく、笑ってなよ」

松潤も震える声で、ずっと頭を撫でてくれてる。

翔ちゃんを巡って対立したこともあったけど、やっぱり松潤も大切な家族みたいな存在で。
もちろんニノもそうで。

今ここに、二人がいてくれて、ほんとに良かったって心から思った。

俺は、一人じゃない。

翔ちゃんの傍にいられなくても、俺には居るべき場所がある。
同じ気持ちを共有してくれる仲間がいる。

こんなに幸せなこと、ないよね。

俺、本当に嵐で良かったよ……




「ほら見ろ。やっぱり傷の舐め合いになったじゃん。だから嫌だったんだよ、俺は」

ニノが、呆れたように溜め息を吐く。

「まぁ、いいんじゃない?たまにはこういうのもさ」

松潤が、最近見せてなかった穏やかな顔で笑ってる。

「そうだよ!ニノも松潤も、泣いていいよ?ほら、この中では俺が一番年上だし。さあ!この胸で泣きなさい!」

胸を叩いて見せると。

「「絶対、やだわ!」」

真っ赤な目をした二人が、心底嫌そうな顔で、綺麗にハモった。


/ 286ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp