第13章 キミの夢を見ていた
【翔side】
智くんがみんなの前ではっきり言ってくれた。
俺のこと、ください...って。
なんだよ...もう///
キャラにないことするからさ...
思わず泣きそうになったけど、こんなしがらみだらけのメンバーの前で、今泣くわけにはいかないから。
唇を噛みしめて耐えた。
相葉くんもニノも、言葉は違うけど、認めてくれた。
潤は何も言わなかったけど、そんな俺たちのこと、真っ直ぐに見つめていて、目が合うと、本の少しだけ頷いてくれた。
....みんな、ありがとう。
こんな俺のこと許してくれて。
認めてくれて。
何があっても、俺たち5人は嵐のメンバーで、今までも、これからも、ずっと一緒に居なきゃいけない。
たった5人の中で、しかも男同士で、こんな好きだ嫌いだなんて状態になってしまったことは、見方を変えれば当然のことだ。
ファンの子たちが好きだと言ってくれる、追いかけてくれる、たくさんの気持ちをくれる。
俺たちにそんな魅力があるとしたら、
それを一番間近で見ている自分たち自身が、
それぞれを認め、好きになるのは自然の通り。
それが尊敬を超えて、愛情に代わってしまったとしても...だ。
「...ね?翔くん」
「えっ?あ、ごめん、何?」
そうだ。
潤と智くんと夏のコンサートの話をしてたんだった。
「幸せすぎて、ボケちゃったんじゃないでしょうね?」
「潤...」
潤は笑ってそう言った。でもその微笑みはどこか淋しげで、胸が詰まった。
「潤...ありがとな..」
そう言ったら泣きそうになった。
今日の俺、なんかダメだ...こんな涙もろい筈ないのに...
「...翔くん..幸せになって...見張ってるからね」
...潤...
潤の言葉に応えようとしたら、それより早く涙が零れ落ちて、俺は慌てて天を仰いだ。
智くんはそんな俺のこと、黙って見てる。
潤...雅紀...ニノ...
みんな...ありがとう...
何回言っても足りないよ。
一番大切なものに気づくまで...
大切な存在が分かるまで...
ずいぶん回り道しちゃった。
でもお蔭で、3人の器の大きさと優しさを知ったよ。
無駄じゃなかった...そう思ってもいいよね?
智くんの顔を見ると、笑って何度も頷いてた。
......なんか、お父さんみたいだ、マジで。