第13章 キミの夢を見ていた
【翔side】
またこの鍵を智くんに渡せる日が来るなんて、
夢にも思っていなかった。
智くんが泣くからさ...
思わず抱き締めてた。
愛しくて、ずっと腕の中に抱いていたい...
でも、無情にも『早く降りて来い』と、
2回目のインターフォンがなり、俺たちは笑いあって玄関をでた。
「おはようございます!遅くなってすみません!」
恐縮するマネに、ちょっと多めにイチャイチャ出来てよかった...とは言わないけど。
俺たちは車に乗り込んだ。
俺たち二人のことは、メンバー以外は知らない。
いつかは事務所くらいには話さないと、
何かと面倒だとは思うけど。
「二人が朝一緒って、久しぶりですね~?」
なんて、一番後ろに並んで座った俺たちに、朝からハイテンションの彼が声を掛ける。
「そうかなぁ~?」
「これからは時々あるかもしれないからよろしくね♪」
...おい!そんなこと言ったらバレるって///
焦る俺に智くんは、ねっ?って小首を傾げて見せた。
...ちくしょー///可愛いじゃね~か...
俺は少し睨んでは見せたけど、そっとシートの上で小指を絡ませた。
もちろん智くんも絡めて来てくれるから、指切りみたいになって、仕掛けた俺は妙にテレた。
そんな甘い空気が、鈍い運転席の彼にも届いたのか、
「なんか、今日いつも以上に仲良しですね~?夫婦みたいですよ?...あ、ファンの子たちもそう言ってますよね?『山夫婦』って...聞いたことあります♪」
......
「だそうですよ~?お父さん♪」
「そうか、聞いたことないけどな!お前..」
......俺たちは一緒に声を出して笑いあった。
こんな幸せでいいのかな~...
今日は俺たちがきちんと気持ち伝えあってから、5人での初めての収録だ。
相葉くんもニノも、俺たちが夕べ一緒だったこと、知ってるわけで...
背中押してもらったんだもんな...
酷いことしたのに。
応援してくれた3人...
ちゃんとお礼を言わないと、だよな?
智くんとは夕べ、そんな話をしてないけど。
...これからは、ずっと智くんと一緒に歩いてく。
気持ちをしっかり伝えていきたい。
二人で始める第一歩...
そんな決意の朝...
隣に座る愛しい人の手をぎゅっと握った。
智くんも、
強く握り返してくれた。