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スパイラル 〜螺旋の先〜【気象系BL】

第13章 キミの夢を見ていた


【智side】

「智くん、ごめん、起きて?もう支度しなきゃ」

ゆさゆさと揺さぶられて。
目を開くと、困ったような翔くんの顔。

やっぱ、イケメンだぁ〜

腕を伸ばして、その首に巻き付けて引き寄せる。

「ちょ、ダメだって!もう迎えが来ちゃうから!」
「え〜やだ」
「やだじゃないでしょ!子どもか!」
「だって、もっと一緒にいたいもん」

焦った顔してた翔くんが、俺の言葉に驚いたように動きを止めて。
それからすごく優しい顔で微笑んだ。

「俺も…離れたくないよ。ずっと一緒にいたい。でも、仕事は放り出せないでしょ?リーダー」

リーダーなんて、普段翔くんが呼ばない呼び名で言われたら、もう従うしかなくて。

俺はしぶしぶ彼に手を引かれてベッドを降りた。

途端に、腰の辺りに違和感が……

「…今日の収録、やべーかも…」

翔くんが、青ざめた。

「え、やっぱり!?だから、おはようエッチなんてしなきゃ良かったのに…」
「翔くんがあんなに責めなきゃ、ここまでになんねーよ!」
「智くんだって、めちゃめちゃ喜んでたじゃん!」

その時、翔くんの携帯が鳴って。
慌てて放りっぱなしの携帯を耳に当ててた。
電話はマネからで、工事渋滞に嵌まってて20分程遅れそうだという連絡。

俺たちは、少し浮いた時間で急いでシャワーを浴びて。
その後、マネが来るまで翔くんが腰をマッサージしてくれた。

「これで少しは大丈夫になるといいけど…」

言いながら、もみもみしてくれて。

あ、また眠くなってきた……

「あ、こら!寝るなって!」

その時、インターフォンが鳴って。

「ほら、迎え来たよ。行こう」

また手を引いて玄関まで連れてってくれた。

下駄箱の上にある棚の中から鍵を取り出した翔くんが、その手の中の鍵をじっと見つめる。

それから優しく微笑むと、その鍵を俺に差し出した。

「智くんが、持ってて?いつでも来てよ。会いたくなったら、いつでも。月曜日じゃなくても」

その言葉に、胸が詰まって…。

10年間、合鍵を持ってても、月曜以外に使うことが出来なかった。
でももう、曜日を気にすることなんてないんだ。

好きな時に、翔くんに会える。
遠慮なんて、しなくていい。

俺たちやっと

本当の恋人同士になれたんだね……

思わず涙を溢した俺を、翔くんが抱き締めてくれた。


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