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スパイラル 〜螺旋の先〜【気象系BL】

第12章 同じ空の下で


【智side】

翔くんがシャワーを浴びてる間、まるで初めての時みたいにドキドキしながら待ってた。

処女じゃあるまいし、バカか俺は。

自分でツッコんでみたけど、ドキドキは治まらなくて。

気を紛らわせるために、携帯を手に取る。
そうしたら、ニノからLINEがきてた。

『がんばってる?』

思わず顔が緩んで。
電話しようかと思ったけど、今どことか聞かれたら恥ずかしくて答えられん。

だから、『うん』とだけ、送った。

すぐに既読が付いて、『頑張れよ』って男前な返事が帰ってくる。

ありがとう、ニノ。
おまえには感謝してもしきれないや。
幸せにしてやれなくて、ごめんな。

「…智くん?どうかした?」

ニノのことに気を取られてたから、翔くんが部屋に入ってきたのに気が付かなくて。

びっくりして顔を上げたら、スエットのズボンだけを履いた彼が、ゆっくりと近付いてくる。

しっかり筋肉のついた男らしい上半身に、心臓が跳ねた。

だから、乙女か、俺は。

耳許で煩くなる心臓の音を聞きながら、ゆっくり伸びてくる腕を見てて。
気が付いたら、その逞しい腕の中にいた。

「…どうしたの?震えてる…」

低くて艶のある声が、鼓膜を揺らす。

「もしかして…緊張してる?」
「…うん…」
「フッ…可愛すぎでしょ…」

言いながら、翔くんの手がバスローブの紐を解いて。
肩から、落とされた。

「智くん…」

剥き出しの肌と肌が触れ合う。

温かくて、気持ちよくて。
緊張で強張った身体が、解れていく。
同じボディーソープの香りに、胸がじんわりと温かくなった。

「好きだよ」

目を閉じて彼の存在を全身で感じていると、甘い囁きとともに、唇が降ってきた。

「俺も、好き…」

今まで言えなかった10年分、何度も愛の言葉を繰り返しながら、キスをして。

唇を重ねたまま、ベッドに押し倒された。

そのまま、深く咥内を貪られて。
温かい手が、胸を撫で回してくる。

ふと、素朴な疑問が浮かんだ。

「ねぇ、どうやってどっちか決めんの?」

今までは、ZEROの時のネクタイの色だったけど。

今日はどうするんだ?

「あなたねぇ…ここまで来たら、今日は俺が上でしょ」
「じゃあ、これからは?」
「う〜ん…じゃんけんでもする?」

……ムード、ねぇな……。


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