第12章 同じ空の下で
【翔side】
智くんのバスローブが無くなっていることに気付かなかった。
考えられるのはひとつだけ。
雅紀が持ってたんだ....
「翔くん....」
智くんが不安そうな顔して俺を見てる。
俺はそっとそんな彼の肩を抱き寄せた。
「ごめんね...俺のを貸すよ...いい?」
「...うん..」
....ごめんよ。智くんにもそんな顔させたのは、全て俺の責任だ。
俺の弱さが雅紀を追い詰めた。
本当の気持ちから逃げて、寂しい気持ちにちゃんと向き合おうしなかった俺の情けなさで、どれ程周囲を巻き込んで苦しめたか....
雅紀....
俺は智くんのローブを持ち去った彼の気持ちを思うと、胸が苦しくなった。
「翔くん、俺がいるよ...」
「智くん...」
「だから、そんな辛そうな顔しないでよ...俺も背負うから...俺と翔くんの罪、ふたりで償ってこうよ...」
俺は智くんの言葉に胸がつまった。
そうだ。
時間は戻せない。犯した罪は消えやしない。
ならば、
これから俺がどう生きるかが、大切なのかもしれない....
彼の言葉と気持ちが嬉しくて、
泣きそうになった。
「ありがと...智...」
智くんがシャワーをしている間、
俺は雅紀に電話をした。
『もしもし、翔ちゃん?』
「雅紀...背中押してくれてありがとな..」
『...今、リーダーと一緒なの?』
「うん...」
『そっか、良かったね、翔ちゃん...今、リーダーそこにいるの?』
「いや...シャワー..」
『そっか...なんか、生々しいなぁ..』
そう言って雅紀が笑った。
「あ、ごめん..」
『いいってば。じゃ、またね、翔ちゃん』
「うん...雅紀..ホントにありがとう」
『いいえ〜♪..じゃ、切るよ』
......涙が出た。
今になって、雅紀の気持ちが、痛いほど分かる。どんなに愛されていたのか。
雅紀....ごめんよ....
「翔くん...?」
いつの間にか智くんがシャワーから戻って来ていた。
「智くん...」
俺が手を伸ばすと、その中にするりと滑り込んできた華奢な身体。
「翔くん、好き...」
「俺も...俺も好きだよ...」
俺たちは隙間を埋めるために、強く強く抱き締めあった。
やっと手に入ったその温もりに、涙が零れた。