第12章 同じ空の下で
【智side】
運転する翔くんの横顔を、ずっと見てた。
かっこいいな〜♪
やっぱ、イケメンだな〜♪
イケメン…イケテるメンズ…翔くんのためにあるような言葉だな〜♪
触りたいな……
でも、運転の邪魔になっちゃうし……
でも、今すぐ触りたい……
いつから、触ってない?
…あの日からだ。
松潤が、翔くんちに来た、あの日……
あの日、もう二度と翔くんに触れることはないと覚悟した。
どんなに好きでも、どんなに想っても、伝えることも許されないって。
俺に許されるのは、誰かの隣で幸せになる翔くんを黙って見てることだけなんだって…。
考えてたら、鼻の奥がツンとしてきた。
唇が震えて、涙が込み上げてくる。
まだ、信じられない。
夢じゃないよね…?
実はどっきりでした〜とか、ないよね?
松潤とは、相葉ちゃんとは、もう関係ないんだよね…?
俺の側に、いてくれるんだよね………?
ねぇ、翔くん。
もう一回、言って?
夢じゃないって、俺の身体に刻み込んで………
考えるより先に、翔くんの手を掴んでた。
運転中だから、危ないからダメだってわかってんのに。
「翔くん…これって、夢じゃないよね…?」
びっくりしたように、翔くんが俺を見て。
ウィンカーを出すと、急いで路肩に車を停めた。
「智くん…」
大きな漆黒の瞳が、真っ直ぐに俺を見つめて。
その瞳の中に、俺の姿が映ってる。
それだけでもう、俺の涙腺は決壊しちゃって。
「…っく…しょ、く…うぅっ……しょう、くん……」
子どもみたいに、しゃくり上げて泣いちゃった。
「智くん…ごめんね…」
翔くんの顔、ちゃんと見たいのに、拭っても拭っても涙が溢れてきて。
涙の向こうに、翔くんの姿が歪んで見える。
「しょ…く、は…わるく、ないよ……っく…おれ、が…わるい、から…」
マジでカッコ悪い。
子どもみたいだ、俺。
でも、カッコ悪くても、子どもみたいでも。
もう、この手を離したくないよ…。
翔くんの手が、ゆっくりゆっくりと俺の頭を撫でる。
「ごめん…もうちょっと、我慢できる?俺のうちまで…。そうしたら、さ…いっぱい話して…いっぱい抱き締めあおう?」
泣きすぎて、答えることもできなくなって。
何度も頷くと、あやすようにポンポンと頭を叩いて、翔くんの手が、離れていった。